出版社内容情報
従来、ミクロ経済学とマクロ経済学は、その分析対象を異にするだけではなく、共通の分析手法を持っていなかったが、この断絶状態は終焉を迎えつつある。近年の目覚ましい経済学の進化をトレースし、両者の方法論的な対立を乗り越えた先に見える「標準的経済学」の現在と未来を、「合理性」をキーワードに解説する。
内容説明
従来、ミクロ経済学とマクロ経済学は、その分析対象を異にするだけではなく、共通の分析手法を持っていなかったが、この断絶状態は終焉を迎えつつある。近年の目覚ましい経済学の進化をトレースし、両者の方法論的な対立を乗り越えた先に見える「標準的経済学」の現在は未来を、「合理性」をキーワードに解説する。
目次
第0章 再び「静かな革命」か?
第2章 合理的経済人と最適化
第3章 合理的経済人の見直し
第4章 マイクロ経済学とミクロ的基礎付け
第5章 標準的経済学の未来像:「合理性」と「ミクロ的基礎付け」の使い方
著者等紹介
清水和巳[シミズカズミ]
1961年生。早稲田大学大学院経済学研究科博士課程修了。Ph.D.(経済学、グルノーブル大学)。専門は行動経済学、実験政治経済学、意思決定理論。現在、早稲田大学政治経済学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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2
経済学の過去から未来まで、合理的経済人とミクロ的基礎づけに着目しながら系譜を見ていく面白い本。期待効用までしか知らず、その先の変容ぶりに目を見張った。経済学は〇〇学派という謎概念があり政治かよと勝手に思っていたが、どうも過去は現実のデータと合わなかった(⇒様々な仮定を置きうる)らしい。人間とかいう不確かな存在を扱わざるをえないという根本的な困難がありそう。でも一定の方向性はあると著者は期待する。最近は計算系もあるらしい。一番興味を惹いたのは経済計算論争。あと、自分はそこまで経済学に興味ないんだなと気付いた2022/04/01
D.Tsukamoto
2
修士課程修了の折、恩師の新刊を読了。これまでの指導を復習し、懐かしい気持ちになる。同時に、今まで部分的にしか聞いてこなかった研究分野の変遷や通底する問題意識を初めてまとまった形で知る。今や進化生物学をベースに実験研究を進める氏だが、過去のデータベースを漁るとマルクス経済学や経済学説の論文がチラホラと出てくる。明らかにミクロ系の研究をしている氏が私にしてくれる話は、何故こうも多岐にわたっているのか?序章・終章でその答えが詳らかに明かされ、4年半越しの種明かしを受けた気持ちになった。そんな不思議な読後感。2022/03/27
Go Extreme
1
再び「静かな革命」か? 経済学の歴史を分析単位から振り返る: 古典派から新古典派へ 新古典派総合とその破綻 ゲーム理論の導 合理的経済人と最適化: 期待値から効用へ 時間選好 共有知識 合理的経済人の見直し: 限定された合理性 プロスペクト理論 2段構えの構造 期待効用理論の自然な拡張 損失回避 フレーミング効果 時間非整合性 共有知識としての合理性 無知の仮定 マクロ経済学とミクロ的基礎付け: ソローモデル ミクロ的基礎付け 代表的個人 情報処理能力の限界 カリブレーション 標準的経済学の未来像2022/05/08