内容説明
感情はどんな働きをしているのか?喜びや悲しみ、怒りや嫌悪など、私たちが日々経験する心の動きは文化によって違うのだろうか?感情は非合理的で理性のじゃまものなのか?気分操作の技法とは?人間と同じ感情をもったロボットは果たして実現可能か?感情をめぐる科学的研究が、近年、めざましい進展をとげている。認知心理学、進化心理学、脳神経生理学、人工知能研究、ロボット工学など、幅広い分野の最新の知見を紹介しながら、多彩なトピックを軸に、機知に富んだ語り口で人間の情動がもつ多様な機能を描きだす。
目次
1 普遍言語
2 なぜスポックは進化できそうにないのか?
3 幸福への近道
4 頭と心
5 泣いたコンピューター
著者等紹介
エヴァンズ,ディラン[エヴァンズ,ディラン][Evans,Dylan]
1966年生。感情心理学、ロボット工学。現在、西イングランド大学知的自律システム研究所シニア・レクチャラー
遠藤利彦[エンドウトシヒコ]
1962年生。発達心理学、感情心理学。京都大学大学院教育学研究科助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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牛タン
3
情動についての本。先天的にもつ情動と文化的条件のもと醸成される情動、そして大脳新皮質の発達によって生まれた工事認知的情動がありますね、という分類とか。情動はそれによる肉体変化(危険に遭遇した時にアドレナリンが出て逃げられるように、とか)というメリットと、外的に表出(他個体に情報を知らせることで協調をはかったり牽制したり)する機能がありますね、とか。個人的には、薔薇の名前を読んだ後だったので、「演劇によって最も審美的な距離で情動を経験できる」というトーマス・シェフというひとの言葉が気になった。2018/10/04
Glitter
2
感情について2000年前後の見解が書かれている 泣いたコンピュータという章はディープラーニングが進展している現在から見ると少し古臭く感じるが 全体として感情についての議論の現在地がわかって良かった 理論的な根拠はかなり省略されているので 気になった部分は他の書籍で補完するべき2016/04/06
陽香
2
200512222016/03/10
山口 公大
1
アリストテレスやアダムスミスの考え方を参照しながら、理性と情動のどちらか一方ではなく、バランスよく両立させるポジションから、感情を多面的に解いていく本。 詳細は下記 https://note.com/t06901ky/n/n595f047949cb2021/03/21
security blanket
1
他の人の書かれているように、「一冊で分かる」という出版社のマーケティングフレーズは微妙。ただし、感情には固有の理性(生態学的合理性)があるという主張が決定的に重要と感じた(というか、それを具体的に理解するために読んだ)。感情を排除する形でつくられてきた近代の諸々の社会制度を疑う極めて有力な議論になりそうな気がする。特に、感情を規範意識との関係で捉え、社会問題発見や民意形成に繋げようとしている「感情の政治学」の分野では、生態学的合理性は欠かせないように思えた。2014/08/07