内容説明
アフガニスタン、パレスチナ、アルジェリア、インド、ブラジル…ポスト植民地のさまざまな「情景」をたどるモンタージュの旅に読者をいざないながら、著者はポストコロニアリズムが問いかけるものを複層的に浮かび上がらせてゆく。ポストコロニアリズムとは何よりも具体的な政治・社会・文化の状況を出発点にふまえた、下からの視点による思考であり実践なのだ。第一人者が書き下ろした待望の入門書。
目次
序 モンタージュ
1 サバルタンの知
2 歴史と権力、下からの上からの
3 空間と土地
4 異種混交性
5 ポストコロニアル・フェミニズム
6 ポストコロニアルな視点から見たグローバリゼーション
7 翻訳
著者等紹介
ヤング,ロバート・J.C.[ヤング,ロバートJ.C.][Young,Robert J.C.]
1950年生。英文学、批評理論。オックスフォード大学教授
本橋哲也[モトハシテツヤ]
1955年生。英文学、カルチュラル・スタディーズ。東京都立大学助教授
成田龍一[ナリタリュウイチ]
1951年生。近現代日本史。日本女子大学教授
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感想・レビュー
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ケイ
113
ポストコロニアル状態は、植民地から解放されてからの混乱と同義語と化しているところが多すぎる。激しい闘争の末にやっと得られた独立が、それを勝ち取った人になし崩しにされている例が多すぎる。独立を起こすエネルギーの強さが逆に振れすぎてしまっている。そして、独立した国家でのマイノリティの抵抗する手段のなさ。さらに、フェミニズム運動を伴い、さまざまな権利に対する寛容さが要求されるようになってきている。多様性を認めることに疲れたら…、現代の冷戦の反対側の立場でなされることが検討違いとも思えなかったとしたら…。2021/04/17
陽香
2
200503252016/02/21
いたる
1
ポストコロニアリズムの入門書。理論の解説ではなく、異質な空間と時間を接合したモンタージュであり、映画のような作品として読める。2021年5月末の東京で読んでいることにも意味があるとも感じた。良書。星5つ。 2021/05/31
可兒
1
ヨーロッパ由来以外の視点の話2016/06/28
ズマ
1
文章が小説っぽいというか文学的。抽象的な理論を語るのではなくポストコロニアルな現状を写し出すという手法が新鮮だった。ポストコロニアリズムはあらゆるマイノリティに通ずるというのに改めて気づかされる。この本自体植民地支配という文脈だけでなく、様々なマイノリティ問題に翻訳して読むことも可能だろう。あと表紙かわいいね。2012/01/24