世界歴史選書
愛国主義の創成―ナショナリズムから近代中国をみる

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  • サイズ B6判/ページ数 229,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000268431
  • NDC分類 311.3
  • Cコード C0322

出版社内容情報

国を愛し,国民の団結を叫ぶナショナリズム運動は,いかにして形成されたのか.20世紀初頭の中国を題材に,反米運動と人種意識,地理観念と歴史認識,愛国者の死と追悼,などのテーマから愛国主義の光と影をよみとく.

内容説明

ナショナリズムは、近代世界を覆った最大の事象のひとつである。その力は、わたしたちが生きる現代にも、なお強い影響を与え続けている。清朝統治体制の再編と、外国勢力の介入に揺れる二〇世紀初頭の中国。やがて革命へと展開する激動の時代に、国を愛し団結することを訴える思想運動は、いかにして形成されたのか。海外移民と人種主義、都市秩序と国家意識、地理概念と歴史認識、身体と文明化、愛国者の死と追悼、などの多様な視角から、愛国主義の“光”と“影”をよみとく。ナショナリズムの文化=社会史。

目次

はじめに―梁啓超のアメリカ紀行
第1章 愛国主義の歴史的位相
第2章 同胞のために団結する―反アメリカ運動(一九〇五年)
第3章 中国の一体性を追求する―地図と歴史叙述
第4章 辮髪を剪る―尚武と文明への志向
第5章 愛国ゆえに死す―政治運動における死とその追悼
終章 愛国主義の論じかた

著者等紹介

吉沢誠一郎[ヨシザワセイイチロウ]
1968年生。中国近現代史。現在、東京大学大学院人文社会系研究科助教授。博士(文学)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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まーくん

80
はるか昔から存在していたと思っていた「中国」や「中国人」という概念が如何にして形成されたか?「愛国主義」とナショナリズムとは違うのか?華夷思想との関わりは?清末、戊戌政変にて亡命者となった梁啓超を追いつつ考察する。中国の一体性の追求は列強による「瓜分」への恐怖・危機感にあるという。西洋を新たな「中華」とみて文明開化に邁進した日本と異なり、「中華」の本家は苦悩する。最後に論ぜられたオスマン帝国との命運の違いは興味深い。今日の中国は清朝の版図を概ね維持したが、トルコ共和国には非常に小さい領域しか残らなかった。2021/04/13

さたん・さたーん・さーたん

2
満⇔漢政権交代の背景への関心がきっかけで読んだ本。清末における国民意識の醸成について分析する。日本や欧米からの脅威にさらされ改革を求める強い潮流。魯迅の著作を併読していて時代背景への理解に役立った。終章にてトプカプ宮殿と紫禁城の規模の違いに着目し、世界史視点からの比較研究をしているのもおもしろかった。2025/03/16

もちょ

1
当時の人々は明確な国民国家の建設というビジョンがあったのではなくそれぞれに多様な思惑があって、後世から見てみればそれらが一貫した流れに見える、そういうことをあまり意識してこなかったことに気づいた2016/01/06

飛燕

1
清末における「中国」「愛国」の言説形成史。元ネタはB・アンダーソン『想像の共同体』で、そのパラダイムの範疇から抜けたところは見られないから、それほどの斬新性は感じられず。2014/10/24

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