出版社内容情報
謝肉祭に見られる王と臣下,動物と人間などの象徴的地位逆転現象は,フレーザー以来「未開」民族において広く知られる.その諸例を西欧の絵画や文学に探り,社会的・文化的働きを明らかにしたユニークな論文集.
内容説明
謝肉祭に見られる王と臣下、男と女、動物と人間の転倒などの象徴的地位逆転現象は、フレーザー以来「未開」民族において広く知られるが、その淵源はギリシア民衆文化に遡る。本書は人間の象徴行為の核心をなす逆転過程の諸例を西欧の絵画や文学に探り、その社会的・文化的働きを明らかにした洞察的な論文集。
目次
1 イメージの逆転(さかさま世界―ヨーロッパにおける瓦版の一類型とその図像学;「自由は娼婦だ」―逆転、周辺、ピカレスク小説;女性上位―性の象徴的逆転と近代初期ヨーロッパにおける政治的混乱)
2 行為の逆転(象徴的逆転と社会史―ジャワの女装芸人と道化;ウィリクタへの回帰―ウイチョル・インディアンのペヨーテ狩りにおける儀礼的逆転と象徴的連続;逸脱による成功―悪いこととされた役割の二重の逆転)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しょうたろ
2
【ベスト一行】 極性的に対立するものは地球の両極や磁石、あるいは棒の両端やコインの裏表のように、分離できぬ対立物なのである。 【感想】 ビッグバン以前について考えるとどうしてももやっとするが、今回のように別の観点から考えること「統一 → 分離 → 再統一 → 再び分離」といった世界観には自然な納得感がある。対立や逆転といった現象を単なるトラブルではなく、統合の一部としてとらえることで、今この瞬間をもっと味わい、楽しもうという気持ちが湧いた。2025/05/14
らむだ
2
象徴的逆転をテーマにした論文集。“「象徴逆転」とは、広義に解すれば、言語的、文学・芸術的、宗教的、あるいは社会・政治的のいずれたるとを問わず、一般に行われている文化的な記号、価値、規範を、逆転、否定、または破棄するような、あるいはなんらかの形でそれに代わり得るものを示すような、表現的行動に属するあらゆる行為を指す。” ※ Ⅰ.1ヨーロッパのブロードシートにおける図像学。2ピカレスク小説。3性の象徴的逆転。Ⅱ.4ジャワの女装芸人と道化。5ウイチョル・インディアンの儀礼。6逸脱と役割の二重の逆転。2022/03/23
huchang
2
これだけは書いておく、後半の訳がまずい。自分と親しみのあるインドネシアやそのあたりのことが書いてあってもなお、読みづらかった。閑話休題、前半の「さかさま絵」の紹介と考察は新鮮で、真面目くさってて冗談が通じなさそうで疫病とか魔女狩りとかそんなんばっかりのヨーロッパ暗黒時代にこういうものがあったのかとちょっと意外に思ったところから始まった。ここからカーニバルやその期間の無礼講の果たす社会的役割やなんやらについて考察が加えられる。もっとこんなの学生のときにたくさん読めばよかった。2020/10/26
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