出版社内容情報
フランス革命のイデオロギーの真の主役は誰だったのか.ルソーやディドロらの陰に暗躍し,革命を準備していた三文文士たち….文学史の記述を次々と覆し,光の世紀といわれる啓蒙の時代の暗黒を鮮やかに描き出す力作.
内容説明
思想史上「啓蒙」の時代として知られる18世紀フランス。だがヴォルテール、ルソー、ディドロらの陰で「どぶ川のルソー」と呼ばれる三文文士たちが暗躍し、革命を準備していた!当時の警察文書や手紙、営業記録など膨大な眠れる史料を丹念に読み解くことで、革命前夜の隠れた歴史を鮮やかに描き上げ、絶賛された力作。
目次
第1章 革命前夜の政治と文学―啓蒙の思想から「どぶ川のルソー」まで
第2章 どん底世界に棲むスパイ
第3章 逃げまわるパンフレット作者
第4章 マントの下の書物取引―アンシアン・レジーム末期の地下出版物
第5章 国境を越える印刷工房
第6章 書物の社会史―読むこと・書くこと・出版すること
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よつか
1
フランス革命の基盤を作り挙げたのルソーやヴォルテールのような啓蒙思想家だけではない、というのが著者の主張。海賊版やスキャンダラスな出版物を売って生きた男たちの物語を膨大な資料を用いて解説しています。時間があったらもう少しじっくり読みたいです2013/07/12
Dr. Hiro Tanaka
0
神が決めたもの以外は受け入れなかった中世的思考から、人間中心の発想が一般化してくるきっかけとなるフランス革命直前の出版物に関する話。当時の出版社のデータ等から特定の個人を取り上げて234章は彼らのライフヒストリーを見せている。この部分が一番楽しめた。数値的データの議論は背景事情が不明確なため説得力のあるものにはなっていない。2022/01/23