出版社内容情報
宗教がかかわる問題が国内外で注目されている.一九九〇年代以降における宗教の地殻変動を総合的に解説.
序論 公共圏と宗教のせめぎあい ……………池澤 優
一 ナショナリズムと宗教
【争点1】 ナショナリズムも宗教の代替物なのか?
第1章 三つの国の「セキュラリズム」──南アジアからこの語の意義を考える…………… 冨澤かな
第2章 上座仏教とナショナリズム──国家主導の宗教的ナショナリズム ……………矢野秀武
第3章 ボスニアにおける宗教共存の伝統──ポジティブな文化ナショナリズムに向けて ……………立田由紀恵
第4章 「解放」後韓国の宗教とナショナリズム──キリスト教を中心に ……………川瀬貴也
二 世俗・人権・宗教
【争点2】 フランスの共和主義も宗教のようなものなのか?
第5章 欧州人権裁判所におけるヴェールと十字架── イスラームに向きあう世俗的ヨーロッパのキリスト教的な系譜 ……………伊達聖伸
第6章 イタリアの新たな「世俗性」……………江川純一
第7章 イスラーム・ジェンダー論の行方──行動する女性たちへ ……………塩尻和子
第8章 疑似コロニアルな宗教概念に抗するスカーフ──消費主義時代のトルコを事例として ……………澤江史子
第9章 「宗教の自由」をめぐるアメリカの分断状況──国内の論争と外交政策 ……………ジョリオン・トーマス
三 宗教の公共化
【争点3】 宗教は「役に立つ」のか?
第10章 見えない宗教の力──現代の生命倫理・環境倫理言説の宗教性 ……………池澤 優
第11章 宗教の社会貢献──宗教的利他主義の実践と共生社会の模索 ……………稲場圭信
第12章 公共圏における宗教の社会参加──世界最大の仏教NGO・慈済会の挑戦と試練 ……………金子 昭
第13章 市民社会と生命現象──弱さと暴力に向きあう場としての〈ラルシュ〉共同体運動 ……………寺戸淳子
シリーズ「いま宗教に向きあう」について
(争点1?争点3 執筆・池澤 優)
池澤 優[イケザワ マサル]
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藤原 聖子[フジワラ サトコ]
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堀江 宗正[ホリエ ノリチカ]
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西村 明[ニシムラ アキラ]
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内容説明
かつては自明であった宗教と世俗の境界が揺らぐなかで、世界的に宗教にかかわる紛争が起こり、宗教が政治問題になる一方、宗教が宗教という形態をとることなく社会に浸透し、私たちの生活に影響を及ぼしている。宗教的ナショナリズム、イスラームのヴェールと政教分離原則との関係、宗教の社会貢献などの事例を掘り下げ、宗教においてせめぎあう公と私の諸相を描く。
目次
序論 公共圏と宗教のせめぎあい
1 ナショナリズムと宗教(三つの国の「セキュラリズム」―南アジアからこの語の意義を考える;上座仏教とナショナリズム―国家主導の宗教的ナショナリズム;ボスニアにおける宗教共存の伝統―ポジティブな文化ナショナリズムに向けて;「解放」後韓国の宗教とナショナリズム―キリスト教を中心に)
2 世俗・人権・宗教(欧州人権裁判所におけるヴェールと十字架―イスラームに向きあう世俗的ヨーロッパのキリスト教的な系譜;イタリアの新たな「世俗性」;イスラーム・ジェンダー論の行方―行動する女性たちへ;疑似コロニアルな宗教概念に抗するスカーフ―消費主義時代のトルコを事例として;「宗教の自由」をめぐるアメリカの分断状況―国内の論争を外交政策)
3 宗教の公共化(見えない宗教の力―現代の生命倫理・環境倫理言説の宗教性;宗教の社会貢献―宗教的利他主義の実践と共生社会の模索;公共圏における宗教の社会参加―世界最大の仏教NGO・慈済会の挑戦と試練;市民社会と生命現象―弱さと暴力に向き合う場としての“ラルシュ”共同体運動)
著者等紹介
池澤優[イケザワマサル]
1958年生。東京大学教授。中国宗教史、死生学、生命倫理(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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