出版社内容情報
人類学は発見した「異文化」を完結した世界として記述し,博物館はそれを表象し再生産する装置として機能してきた.「文化」を表象するとは何か.大航海時代からインターネット時代までその過去と未来を検証する.
目次
第1章 「異文化」の発見―民族誌展示の系譜
第2章 近代日本における「自文化」と「異文化」の発見―「東博」と「民博」のコレクション
第3章 「異文化」と「自文化」の出会い―「20世紀美術におけるプリミティヴィズム」展を考える
第4章 民族誌展示の現在―「異文化」と「自文化」のはざまで
終章 次代のミュージアムに向けて―ささやかな提言
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
★★★★★
3
民博の教授による文化の展示を巡る考察と提言。自文化の天才的個人が創出した作品を収める美術館と、無名の作者による「未開の」器物を収める民族博物館:王侯の蒐集という同一の起源に由来しながら、正反対の志向を持つに至った二つの「ミュージアム」について、その分化・展開の歴史と、方向を異にしながらいずれも結果的には西欧文化に奉仕するその権力性が明らかにされます。そして次世代のそれは、評価の定まったものを拝みに行く「テンプル」から、未知なる物と出会い相互作用の場となる「フォーラム」へ向かうべきと結論されるわけです。◎2009/12/02
RYU
1
国立民族学博物館館長による、文化の発見の装置としての民族学博物館の系譜。民族学博物館は主に西洋からみた異文化で生み出された名もない作者の器物artefact、近代美術館は自分たちの文化が生み出した名のある作者の美術作品artをそれぞれ収蔵・展示。日本では、東京国立博物館が古美術特化により自文化像を形成(日本美術史を規定)し、国立民族学博物館が世界のコレクション収蔵により異文化像を創り出した。民族学博物館と近代美術館の区別は自他の根深い区別を表象。フォーラム(対話・議論の場)としてのミュージアムを提言。2017/09/22
じゅんた
1
7年ぶり、再読。7年前はどれだけ理解して読んでいたのか。今では充分理解できます。2011/11/14