内容説明
子どもが引き起こす残酷な事件が報道されるたび、「子どもが変わった」と言われる。しかし、本当に子どもは変わったのか?二〇〇四年に起きた佐世保事件の背景をたどりつつ、子どもたちを取り巻く状況、とりわけ「学校」という場が子どもたちの生きるかたちに与えている影響を丹念に描き出す。子どもたちの世界を子どもたちの側に立って理解していくことで問題の本質が浮かび上がる。
目次
1 事件とその物語(学校のなかで起きた殺人;時間の錯誤;家裁決定要旨を読む(1)―女児の人格特性 ほか)
2 学校と子どもたちのいま(学校のリアリティ;時代のなかの子ども;人々の生きるかたちとその歴史 ほか)
3 学校という場の嘘(学校という場の小さな嘘;子どもと教師のきしみ;学校のなかのコミュニケーション ほか)
著者等紹介
浜田寿美男[ハマダスミオ]
1947年香川県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。奈良女子大学文学部教授。発達心理学、子ども学、法心理学の問題領域で、学と現実との接点を求める活動を進めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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teafool
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かなり久しぶりに再読。5年ぶりくらい?事後情報から「事件の物語」を作り上げてしまう危険性を理解し、本来、人はいましか生きられないということを意識したうえで判断をおこなう必要があるということは共感できる。ただ、その言をつきつめて考えるなら、加害者である女児(さらに現在の子ども)の生きる環境がバトルロワイヤル的であるのではないかということも「事件があったからこそそう言えるように感じるだけでは?」と言いたくもなる。ただ、一視点としては興味深い。物事は多面的に見なくちゃね。少々著者のノスタルジーがある気はするが。2011/09/17