出版社内容情報
人間を活性化させる言葉の仕掛けである小説.著者は作家としての経験を新しい文化理論につきあわせ,想像力,文体,構想の分析を通して,方法的な小説のとらえなおしを行なう.書く行為と読みとりに共通する構造化が同時代の状況を文学の場にすえる.そこに立って「個」の言葉である小説の“未来の経験”に向けての有効性をさぐる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おにぎりの具が鮑でゴメンナサイ
21
むむう。書いてあることが難しい。小説ってこんなにいろいろなことを考えながら読まないといといけないのか・・・だったらとても飲み食いなどしながらでは無理だ。畳の上に正座し、背筋を伸ばして読まねばダメだ。赤いフンドシをぎゅっと締めて、滝に打たれながら読まないとといかん。いままで寝っころがったりトマトジュースを飲んだり、たくあんをもぐもぐしながら読んでいたのが恥ずかしい。プロの作家というのは崇高な動機によってペニスとか乳房とかラヴとか書いてるんだなあということがわかりました。正座してたら足がしびれました。いてて。2014/07/07
Takayuki Oohashi
7
大江さんの創作論について理解を深めようとして、読んだのですが、「新しい文学のために」以上に難解で、よく分かりませんでした。ただ、「狭山事件」の文体の話と、原子力発電に対するマスメディアの世論操作の話が印象に残りました。ただ、大塚英志さんみたいに創作論とは言っても、マニュアルを教えてくれるわけではない点が残念でした。ただ、神話論については、大江さんも僕のように、物語の骨格を成すものとして大切に考えている点が読後の収穫でした。2015/07/21
s_i
2
フォルマリズムから絶妙に逸脱する異化2014/12/27
nana
1
独特の言い回しがあって難しい。一言で言うとこれは文学作品の「異化」について書かれた本である。これはロシアフォルマリズムの用語らしいのだが、私はこの単語を心理学における馴化の逆概念として捉えた。馴化とは一定の刺激が繰り返されると生物の反応が次第に鈍くなっていくことを指す。 それとは反対に異化とは、人が物事を認識する際に新鮮味を失わせないための試みなのである。異化の例として、私はすぐに現代アートの芸術家たちの涙ぐましい努力を思い浮かべた。2013/06/09
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