出版社内容情報
教科書には人名や事項がぎっしりつまっています.それを覚えるのはうんざり.なぜ日本史や世界史を学ぶのでしょうか.自分にとって歴史とは何かを問うていくと,歴史の見方が変わり,教科書もずっとおもしろくなります.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gecko
8
「岩波 高校生セミナー」を本にしたシリーズの一冊。「したこと」史観の問題性を指摘し、「大文字の歴史」に対する「小文字の歴史」(女性史や地域など)を「それぞれにとっての」視点から考えることを提唱する。国家に対する「地域の経験」として沖縄(とアイヌ)、水俣を取り上げている。「伝説とは、歴史によって押しつぶされてきた人びとが、自分たちの願望を、小さな事実を火種にして大きく虚構の世界へ拡げていったときにつくりだされる過去の記憶」であり、「フィクションでもって歴史に復讐する」(p.16)という表現が印象に残った。2023/05/08
ユウキ
4
地域社会史、マイノリティの問題が示す重要性をあらためて強く感じさせる良書だ。特に水俣の取り上げ方は、公害からはじまる苦難の歴史といった通り一遍のものでなく、戦前の植民地政策と大企業、そして地域との関わり方がクローズアップされ、社会の教科書で学ぶ程度の知識では知り得ない、これまでと全く違った景色が見えてくる。この書で示される現実自体も衝撃だが、われわれ自身が目を背けたくなるような過去を見つめることそれ自体に、現代の社会や歴史学のフレームワークに衝撃を与えるような力がありうるのだ、ということを強く実感した。2018/04/06
takao
3
ふむ2024/01/12
たぬきのしっぽ
2
これはいい本。わたしたちが当たり前だと思いがちな歴史の見方が、見えなくしているものとは何か。著者の実感を通して大変分かりやすく解説されている。「したこと史観」などの指摘はあざやかでハッとさせられるし、読後、今まで見えなかったものが見えてくるようで得をした気分になれる。歴史を学び、歴史に学ぶための準備に最適の一冊。2009/07/19
〆さば
1
良書。2015/02/18