感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
50
神殿で歌われた歌を集めた『詩篇』から始まって、捕囚後が舞台となる『エズラ記』などバラエティに富んだ内容。どれも信仰の書であるわけですが、時代や書き手によって”信仰”の内容も変っているように思います。信仰とは神から賜った律法を守ること。神を畏れ、律法に従い弱い者を守り、不正を行なわず、正しくあること。その不変の真理を前に、異邦人ルツを語ることで偏狭な民族主義的思想を打破しようとした『ルツ記』と、律法への回帰と純血主義による民族の団結を説く『エズラ記』などとの対立に、信仰の寛容と不寛容、その両面を思いました。2018/10/19