出版社内容情報
死海文書とならんで、キリスト教の成立史を解く最も重要なカギとされる不思議な文書が、ようやく日本語で全文読めるようになった。ナグ・ハマディ文書は、一九四五年にエジプト南部のナグ・ハマディで農夫によって発見された、コプト語で書かれた五十二のパピルス文書である.....。(立花隆『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』 275頁、より)
感想・レビュー
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レートー・タト
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再読。ナグ・ハマディ文書の邦訳第四巻。この文書の内「黙示録」と分類されるグノーシス文書がここに収録されている。ただしこの「黙示録」という分類は、ユダヤ-キリスト教の黙示文学の定型的構成要素(トポス)とは一線を画している側面がある。本書の冒頭で訳者・研究者の一人である大貫隆は、ユダヤ-キリスト教黙示文学のトポスの目録を作り、その成立史を描き出して、黙示文学を著した者たちの関心がどのようにシフトしていったか、そしてそのトポス論的分析からグノーシス文書の「黙示録」との違いを明るみにしようと試みている。2010/07/18