内容説明
昭和に入ってからの上方落語は、漫才の台頭に押され、衰退の一途をたどっていた。追い討ちをかけるように、戦後間もなく、古老の落語家が相次いで死去。「上方落語は滅びた」といわれる危機的状況を迎える。そのとき立ち上がったのが、四人の若手落語家―後に四天王と称される六代目笑福亭松鶴、桂米朝、五代目桂文枝、三代目桂春団治であった。彼らは切磋琢磨して芸を磨き、落語会を開くため奔走する。古老たちに頼みこんで稽古をつけてもらうなど、古典落語を継承する努力も怠らなかった。やがて、実力を身に付けた彼らは人気を博し、弟子入りする若者も次第にふえていく―。戦後の上方落語復興への努力と苦難、今日の隆盛への道のりを、四天王を軸に周辺の落語家・興行師らも絡めて丹念に綴る。落語資料をひもときながら、六十年の歩みを活き活きと描き上げた、著者渾身の落語通史。
目次
第1章 戦後上方落語前史
第2章 黎明期(昭和十八年~二十五年)
第3章 凋落期(昭和二十五年~三十一年)
第4章 復興期(昭和三十二年~四十一年)
第5章 躍進期(昭和四十一年~五十年)
第6章 隆盛期(昭和五十一年~平成八年)
著者等紹介
戸田学[トダマナブ]
1963年大阪・堺市生まれ。作家。2004年上方お笑い大賞秋田實賞受賞。大阪藝能懇話会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぐうぐう
16
大著である。戦後、滅びたとまで言われた上方落語が、いわゆるのちの四天王達の奮闘により徐々に復興していく過程が、学術的にはもとより、戸田学が直接噺家から聞いた逸話や実際に目にした事象を愛情たっぷりに描いているのがいい。また、噺家ならではの、滑稽なエピソードを巧みに挿入し、読み物としてのおもしろを常に心掛けている貪欲な姿勢も、上方ならではを感じさせる。(つづく)2014/09/16
三毛子
2
やっと読み終えました、分厚い一冊です。 わたしが知っているのは、上方落語を低迷から復活させた四天王の面々がすでに重鎮になってから。 そんな師匠方の若い時代の活躍を改めて知ることができました。 わたしが育ったのは上方落語がにぎやかになったころで、いい時代を見ることができたんだなぁと思います。2014/12/13
GO-FEET
2
なかなかの労作であることには間違いないが、これが戦後の上方落語の正史になるのかというと、異議を唱える人も多いやろなぁ… ★★★★2014/09/07
西村章
1
四代目米團治や五代目松鶴、正岡容のもとを巣立っていった若い噺家たちが上方落語を復興し、やがて四天王と呼ばれる彼らの尽力によってさらに次の世代の噺家たちが続々と育成されていくさまは、なんだか梁山泊に集う豪傑たちの銘々伝を読んでいるような趣さえある。戸田氏畢生の労作にして大著。圧巻の五百五十ページでした。2015/11/26
Jiro Fujita
1
うむ、大作。2015/01/17
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