内容説明
本来、将来を見越して備えるためのものだったはずの投資が極端な短期主義に陥っている。投資が個々のリスクとリターンだけで完結するというのは古いパラダイムであって、投資とその先にある経済活動は、社会や環境に大きな影響を与えるのである。今のままでは未来が危ない。すべての投資判断に社会や環境への配慮を組み込むことを市場が共有する規範とする「責任ある投資」の考え方をあらゆる角度から丁寧に解説し、その実現のための具体的な方法や制度改革の提案まで詳述する。
目次
第1章 今、なぜ投資が問題なのか
第2章 責任ある投資は何を目指すか
第3章 責任ある投資の方法
第4章 責任ある投資と利益
第5章 責任ある投資と倫理
第6章 年金の運用を変えよう
第7章 情報開示を変えよう
第8章 責任ある投資の実現に向けて
著者等紹介
水口剛[ミズグチタケシ]
1962年生まれ。筑波大学第3学群社会工学類卒。ニチメン(株)、英和監査法人などの勤務を経て、高崎経済大学経済学部教授。経営学博士(明治大学)。専門は、環境会計、責任投資、NPO会計など。中央環境審議会「環境と金融専門委員会」委員、日本公認会計士協会環境会計専門部会長、NPO法人社会的責任投資フォーラム共同代表理事などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
8
滅多に行けない図書館より。ⅵ頁にあるように、国民年金保険料を払うのも投資。マクロ経済ではIでYの中に入る。非正規も投資家か。未来のために今を我慢(6頁)。うーん。未来が見えない中で我慢の限界、格差社会。CSRからSRI(社会的責任投資)。MFI(小規模金融機関)で問題解決型の資金フローをつくる意義(102頁)。CSV(共有価値の創造)というM.ポーター由来の概念は魅力がある(131頁)。今後、東電など、原発事故への賠償関係資金や、株主や投資家のSRIの内実が問われることになる。被災者への投資のあり方論だ。2013/07/16
ミヒャエル・安吾
4
ただ闇雲に銀行に預金しているだけの日本人に対して、目を覚まさせる本。それが、社会に対して悪影響を与える可能性を説く。2017/03/25
suzuki hirokazu
2
SRIやESG投資といった経緯を踏まえつつ、PRI等の国連でのプロジェクトや実証研究にも触れられており、日本語のこの分野では、なかなか網羅的かつ理論的にまとまった一冊。元はキリスト教の教義から発しているためか、欧米ではこんなにも進んでいるのかと、色々と勉強させられました。資産運用も奥が深いし、社会的な責任も大きいなと改めて実感。2016/03/27
takuya
1
おもしろい。お金を投資することには責任が伴う2018/04/01
bluepand
0
「原発を支える資金も私たちの預金や年金の積立金であると知っていますか?」と帯にある通り、私達の預けたお金は様々な場所へ投資され運用されている。ノルウェーの年金基金はクラスター爆弾製造企業への投資はしないなど、投資先の企業を選別しているそう。2015/05/31