出版社内容情報
カポエイラのショーで生計をたてるブラジル人,ベリーズに流れ着いた上海娘…….アフリカや南米の,そのさらなる辺境に暮らす人びとの生き生きとした表情を写し取りながら,人はなぜ旅をするのか,なぜ旅立つことを強制されるのかを問う,21の短篇.主人公以外は日本人がほとんど登場しない,異色の日本文学.(カラー挿画=門内ユキエ)
内容説明
政変でケニアに逃げてきたエチオピア人、ベリーズに流れ着いた上海娘、メキシコ湾岸に住む黒人奴隷の子孫たち…。アフリカや南米の、そのさらなる辺境に暮らすふつうの人びとの真摯に生きる表情と飾らぬ姿を簡潔に写し取りながら、現代の地球において、人はどういう理由で旅に出るのか、どうして故郷を離れることを強いられるのかを問う、21の短篇。主人公以外は日本人がほとんど登場しない、異色の日本文学。
著者等紹介
旦敬介[ダンケイスケ]
1959年生まれ。作家、翻訳家、ラテンアメリカ文学研究者。明治大学国際日本学部教員。1982年にペルーとボリビアに旅して以来、メキシコ、スペイン、ブラジル、ケニア、日本などに暮らしながら文章を書いてきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
70
ANAの機内誌『翼の王国』に連載された紀行文(2008年4月号~2010年3月号)。ラテンアメリカ文学研究者の書く文章って、なぜこうも面白くないのか。著者の顔が見えない21篇に感心できない分、イラストレーションの門内ユキエの描く絵に魅かれてしまう。2014年の第65回読売文学賞で随筆・紀行賞は、あまり当てにできない。この種の紀行文は、一人称で書いてほしい。このエッセイのなかで風景が見えるのは、10歳の息子が広場でスケッチするのを置いて、ミケランジェロの墓を見に行く主人公の「世界で一番うまい肉を食べたい」の2019/04/21
syaori
30
ANAの機内誌『翼の王国』に連載された短編小説集。子供の重大な冒険に祝杯を上げるフィレンツェへの旅、中米のベリーズで上海娘とエル・サルバドル男の恋の始まりに遭遇する旅、メキシコからマサイ・マラまで旅したハンモック、キューバへの旅の途中で預かった2通の手紙…。目的も方法も様々な旅が描かれるのなかで、土地や人との一瞬の、しかし記憶に残るような出会いが描かれていて、「旅立つ理由」を思い出させてくれる一冊です。幼い息子が初めて歩いて母親の元へ行く、人生初の旅でこの本の幕が下ろされるのはとても素敵だと思いました。2016/09/06
いちろく
24
いただいた本。思い出ばなしを読んでいる様な過去語りの旅行記。ノンフィクションの様なフィクションにも思えた。日本とは違う異国へのパスポートの様な物語にも思え不思議に感じていたら、ANAの「翼の王国」に掲載された内容と知り納得出来た事も多々。挿絵も内容に合っていて魅力的。何処か旅行に行きたくなる。感謝!2018/07/29
seacalf
15
出処はどこかと思ったらANAの機内誌『翼の王国』。 短くも機知に富んだ文章で、フライトの合間に読むにはちょうどいい塩梅。 作者ご自身の体験が主のようだが、違う角度から語られる旅人や地域に住まう人々のお話が次から次へと21編続き、 異国情緒を強烈に感じながら肩肘張らずに楽しく読ませる。 インジェラやポソロ、アヒアコといった現地の料理が食べたくなる。2016/08/17
sagatak
15
同世代の著者。舞台となる土地は今となっては訪ねやすくなっているが当時はもう少し大変だっただろう。自分の人生も無駄とは思わないが著者の人生のなんと起伏に富んで豊かなことか。いつも人との繋がりを大切にしながら旅をする、なんともやはり私には難しかった。何ヶ所か近いところを旅しているので、そこでもっといろいろと感じることができたかもと悔しく羨ましく、そして嬉しく感じながら読んだ。著者と同じ経験はとても無理だが、人間を少し感じる旅に幾つになっても出たいものだ。2014/05/14
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