出版社内容情報
ミシガン州立大学の指導によって初めて沖縄に設立された高等教育機関である琉球大学は,米軍のいかなる政策的意図を負っていたのか.本土復帰運動は米軍の文化戦略(パブリック・ディプロマシー)にどう作用したのか.日米双方の一次資料を通して,支配者の意図と意図せざる結果を,大学本部・学生側の反応と併せて浮き彫りにし,日・米・沖縄の関係性を考える.
内容説明
戦後アジアで冷戦を戦った米国は、1950年、近代沖縄初の高等教育機関となる琉球大学を創設し、同大学は本土復帰の72年に国立大学に移管された。米軍の委嘱により琉球大学に深く関与したミシガン州立大学の「ミシガン・ミッション」関連史料をはじめとする、沖縄を含む日米双方の公刊・未刊の膨大な資料・文献を駆使して、実証的に分析する。日本敗戦の1945年から72年まで27年間続いた米国軍政のなかに琉球大学の沿革を置いてみると、琉大は確かに沖縄の文化発展や人材育成に多大な貢献をなした。そのいっぽうで二度にわたる「琉大事件」や基地闘争・本土復帰運動・ベトナム反戦運動など反米抵抗運動の拠点にもなり、本土への「同化」を拒否する新世代知識人を生みだした。米国軍政の意図せざる結果としてもたらされた「沖縄アイデンティティーの変容」を考える。
目次
はじめに 米国の対沖縄文化戦略としての琉球大学
第1章 琉球大学前史―米国文化人類学と米国軍政
第2章 琉球大学の設立
第3章 反米闘争の拠点としての琉球大学
第4章 「日米新時代」の琉球大学―米国の政策転換
第5章 復帰後の国立琉球大学
おわりに 意図せざる結果
著者等紹介
小川忠[オガワタダシ]
1959年神戸生まれ。1982年早稲田大学教育学部卒業、2012年同大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程修了、学術博士。1982年国際交流基金入社、2011年より同基金東南アジア総局長兼ジャカルタ日本文化センター所長。『ヒンドゥー・ナショナリズムの台頭―軋むインド』(NTT出版、アジア・太平洋賞特別賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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ふら〜