出版社内容情報
シビリアン(文民)が軍を抑えなければ,軍は暴走し,ときには戦争へと国を引きずっていくだろう──このような「軍の暴走」への懸念がシビリアン・コントロールの根底にある.しかし実際には,軍が戦争に消極的なのに,政治家や国民が主導して攻撃的な戦争へと突き進むケー
内容説明
「軍の暴走」は本当に起きるのか。シビリアン・コントロールを問い直す挑発的な議論。
目次
第1部 軍、シビリアン、政治体制と戦争(軍とシビリアニズムに対する誤解;シビリアンの戦争の歴史的位置付け;デモクラシーによる戦争の比較分析)
第2部 シビリアンの戦争の四つの事例(イギリスのクリミア戦争;イスラエルの第一次・第二次レバノン戦争;イギリスのフォークランド戦争)
第3部 アメリカのイラク戦争(イラク戦争開戦にいたる過程;占領政策の失敗と泥沼;戦争推進・反対勢力のそれぞれの動機)
終部 シビリアンの正義と打算(浮かび上がる政府と軍の動機;デモクラシーにおける痛みの不均衡)
著者等紹介
三浦瑠麗[ミウラルリ]
東京大学政策ビジョン研究センター特任研究員(安全保障研究ユニット)。1980年茅ヶ崎市生まれ。東京大学農学部卒業、公共政策大学院修了(専門修士)、法学政治学研究科修了(法学博士)。2011年より現職。論文/共著に、東洋経済新報社「高橋亀吉記念賞」佳作(2010年)ほか受賞多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダンボー1号
13
内容は難しくなないけど手にとった時の読書欲が薄れていき読んでいるうち「戦争」にすごく興味があったわけでもない事に気付いてしまう。勉強として何とか読み終える。67割ざっくり読んだので批評できるほどの言葉はなく、自分は新書程度のボリューム読みこんで行った方がいいでしょう。2015/05/29
ミヒャエル・安吾
7
.....なるほど。まだこの頃には「真摯さ」はあったんだなあ。要するにこの本の言いたい事は「文民が軍人より攻撃的ならシビリアンコントロールの意味は無い」ってことなんだろうけど、解決策が徴兵制とって血の代償を理解させるなら本末転倒でしかない。また、総理大臣になるような人間はえてして例外事項から徴兵逃れをするものでこれも意味がない2018/02/19
Haruka Fukuhara
7
思いの外専門的な本だった。佐々木の本と併せて読むといいのかもしれないと思った。文民(シビリアン)による軍の統制の必要がかねてから説かれてきたが、それは本当か、イラク戦争などを見るに実態はむしろ逆である面もあるのではないかといった話。文民は軍を統制するけど、文民による政治には歯止めをかける装置が存在しないということか。2017/04/09
ころこ
5
国民国家において、軍隊を文民が指揮するというのは、軍隊がクーデターを起こすのではないか、軍人が指揮をするよりも軍事行動に対して極力抑制するのではないか、という希望的観測に立つとともに、我々国民が選挙で選んだ政治家ならば、我々の感覚に近い判断をし、その責任を国民と共有しやすいという利点の多い仕組みだと理解されています。ところが、文民の指揮のもとに行われることが、軍人の判断よりも軍事行動に走りやすい、という仮定を実証しようとしたのが本書です。 2016/12/03
mochizo
4
「戦争を防ぐために徴兵制を導入して軍隊とは何かを体感する事が本当の平和に繋がる」という趣旨の内容には正直共感しました。確かに、文民の方が戦争をけしかける事はよくあります。最大の事例が、ブッシュ(子)のイラン戦争でしょう。その時の構図でパウエルが最後までこの戦争を止めていた事を考えると、なかなか説得力ある論文ですね。で、もっと面白いのがこの三浦さんにネット右翼が反対するという事ですかね。そう、やっぱりネット右翼は喧嘩は売るけど、自分は喧嘩しないという無責任さがよくわかります。一読の価値がある事と、この作者結2015/10/23