考える足―「脳の時代」の精神分析

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  • サイズ B6判/ページ数 202p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000258630
  • NDC分類 146.1
  • Cコード C0010

出版社内容情報

「私は足で考えます.足だけが何か堅いものに出会うのです」(ラカン).「脳科学ブーム」と騒がれ,あらゆる精神疾患が脳に還元されるこの時代,いかに精神分析は人間の身体をとらえ,患者の人生と向き合うか.言語と主体の関わりを見つめ直し,「心的次元」における新たな

内容説明

「脳科学ブーム」と騒がれ、あらゆる精神疾患が脳に還元されるこの時代、いかに精神分析は人間の身体を捉え、患者の人生と向き合うか。言語と主体の関わりを見つめ直し、「心的次元」における新たな身体観を呈示する、現代の精神分析入門。

目次

人間は考える足である
第1部 脳中心主義への疑問(幻の手足をとらえる―心的次元への案内;脳のひとり歩きを追う―心的活動への眼差し;言語という大地を歩く―主体への道)
第2部 精神分析の見つめる身体(心的活動の成立―欲望の重層性;主体の誕生―欲動と存在の矛盾)
精神分析の営みとは何か

著者等紹介

向井雅明[ムカイマサアキ]
1948年、香川県生まれ。パリ第8大学精神分析学科DEA修了。現在、東京および高松で「精神分析相談室」を開設し、臨床実践を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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harass

54
本場フランスでラカン本人やラカン派精神分析で学んでいる著者による評論。精神医学界では、精神分析学は脳科学のような「脳中心主義」に取って代わられつつある風潮があるが、著者はそれらへの反論を述べる。確かにこの批判は他の本で聞いていて気になっていた。精神分析の考え方と対する遺伝子中心主義などの考えと対比させる。知的好奇心を刺激してくれる考察多くあり読み応えがある。そこまで専門的な内容ではなく読みやすいが理解できるかどうかは…… 個人的にフロイトもラカンのも完全に納得できてないのでもどかしさを感じるのも確か。2016/11/28

またの名

14
美しい人や物に惹かれる理由をドーパミンとかで説明するのは、原因解明ではなくただの記述。個々人が経験してることの原因を脳だけに還元しないラカン派精神分析の立場で、言葉を操る人間に生じる心的次元の奇怪なダイナミズムを平易に説く。全ての現象を物理・生理的次元のみで語れると考える脳一元論から消し去られてる主体とその責任を擁護しながらも、欲望を引き起こす対象aに悩まされた能動性を欠く主体の寄る辺ない姿を、隠し立てせずに提示。一般受けの悪いフロイトのトラウマ理論を人が言語と遭遇する出来事に読み換えたラカンの良き実践。2016/09/14

袖崎いたる

12
時代はいつの間にやらお脳さまのお時代となっていたらしく、脳内現象から心の問題の因果関係を説明する言説に対して、フロイト‐ラカンの陣営から反撃の嚆矢…的な一冊。お脳さまを考えるそのコギトはお言語さまの洗礼を受けずしては成立しえないでしょうが!…ってのが要点かな。それとラカン解説。「罪の烙印」だの「贖罪」だのという言葉でなされる解説は、『ラカン対ラカン』よりもこなれてきてる印象。面白かったのはラカンの、一冊だけ孤島に持っていく本についての発言。ところで何でラカン派の人たちは「岸田秀」に触れないのだ?謎である。2016/09/19

かがみ

0
本書の言うところの「脳中心主義」とはすべてのこころの問題は脳の構造によって決定されているかの如き説明です。例えば、統合失調症の原因は中脳辺縁系におけるドパーミンの過剰分泌ないしグルタミン酸受容体の異常、うつ病はセロトニン、ノルアドレナリンの不足、強迫神経症も遺伝子の問題である等々・・・けどそれは本当に果たしてそれだけなのでしょうか?これらの本書はこのような「脳中心主義」をラカン派精神分析の観点から批判的に切り込んでいきます。2017/03/08

枕流だった人

0
柏市2015/10/31

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