出版社内容情報
商業資本主義の勃興するロンドンにあって,自己の欲望と社会のシステムとに挟まれた近代人の激しい葛藤を体現した存在――それが「徒弟」だった.徒弟たちの抱える矛盾相克のドラマが市民の文学を生み出し,やがて文学の流れを演劇から小説へと大きく転換させてゆく.従来に
内容説明
商業資本主義が急速な発展をみた都市ロンドンにあって、自己の本源的欲望と社会の律するシステムとに挟まれた近代人の激しい葛藤を体現した存在―それが“徒弟”だった。徒弟たちの抱える矛盾相克のドラマが、市民の文学を生み出し、やがて文学史の流れを演劇から小説へと大きく転換させてゆく―。イギリス演劇にあった市民劇の水脈をたどり、小説というジャンルの勃興をうながした文化のダイナミズムを浮き彫りにする。従来にない視点に立ち、文学史に新たな展望を切りひらく意欲作。
目次
序章 文学史の新たな展望―演劇から小説へ
第1章 徒弟の登場―近代商業資本主義社会の幕開け
第2章 出世する徒弟、堕ちる市民―ロマンスとリアリズム
第3章 金と血と愛欲のゲーム―「文明」を呪詛する男と女
第4章 徒弟としての女―夫殺しの妻、忍従する妻
第5章 黒人奴隷の肉体―文明への叛逆と小説の誕生
第6章 美徳の不幸、悪徳の栄え―聖女のパラドックス
終章 徒弟の退場―小説はどこへ向かったか
著者等紹介
原英一[ハラエイイチ]
1948年生。東北大学大学院文学研究科博士課程中退。現在、東京女子大学教授。専攻分野は、18、19世紀イギリス小説および17世紀イギリス演劇(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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