監視スタディーズ―「見ること」「見られること」の社会理論

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  • サイズ B6判/ページ数 344p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000258173
  • NDC分類 316.1
  • Cコード C0036

出版社内容情報

人々が様々な個人データをもとに振り分けられ,格付けされる現代社会.発達する監視・管理システムは,自由や平等をどのように侵食しているか.「見ること」と「見られること」を社会学,政治学,情報学などの知のネットワークのなかで理論的・歴史的に跡づけ,現代における監視の意味を問う,新たな学問世界への誘い.

内容説明

人々がさまざまな個人データをもとに振り分けられ、統治される現代社会。ますます発達し、増殖するデジタル社会の監視と管理のシステムは、自由や平等をどのように侵食しているのか。そして、そもそも人間にとって「見ること」「見られること」の意味とは何なのか。本書は、多様な知のネットワークと今日まで蓄積されてきた知見をいかにして現代における監視を理論的・歴史的に深く掘り下げ、批判的に問い直す新たな学問世界、「監視スタディーズ」へと読者を誘う。

目次

第1部 視点(見張られている今日の世界―監視の定義と座標軸;広がる監視の場―軍事、行政、労働、治安、消費の五領域;監視を説明する―理論はどう発達してきたか)
第2部 視覚(情報、識別、目録―前近代、近代、ポスト近代の監視形態;セキュリティ、疑い、社会的振り分け―都市で先鋭化する監視;身体、境界、生体認証―グローバル化する監視)
第3部 可視性(監視、可視性、大衆文化―監視体験はどう表現されてきたか;監視をめぐる闘い―多様な抵抗のかたち;データ、差別、尊厳―透明性と人格の主張)

著者等紹介

ライアン,デイヴィッド[ライアン,デイヴィッド][Lyon,David]
カナダ・クィーンズ大学社会学部教授、同大監視スタディーズ・センターのディレクター。カナダ社会科学人文研究評議会から約2億5000万円の助成金を得て、国際共同プロジェクト「新しい透明性を求めて:監視と社会的振り分け」を主催。監視の帰結として「社会的振り分け」に注目し続け、近年はIDカードと識別が市民権に与える影響について研究

田島泰彦[タジマヤスヒコ]
上智大学文学部新聞学科教授。憲法、メディア法。ライアン主宰のSurveillance Projectのメンバー

小笠原みどり[オガサワラミドリ]
フリーランス・ライター。1994年、早稲田大学法学部卒、朝日新聞入社。西部本社社会部記者などを経て、2004年退社。米スタンフォード大でフルブライト・ジャーナリスト研修。2008年、クイーンズ大大学院修士課程(社会学)修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

GASHOW

3
権力者は監視する欲望がある。管理をするために必要だからだ。そうでない者も他人のプライバシーは見てみたいという欲望がある。だが、自分のプライバシーは見られたくないという。世界はすでに監視社会になっている。人は、見た瞬間に情報処理を行う、知ってしまったあとは知る前にはもどらない。見られたものは不利になる。そうやって生物は捕食をしてきた。人類にその時代がやってきた。2018/03/16

Mealla0v0

1
個人ではなく個人情報を監視すること=データ監視。なぜこれが問題なのか。データの収集によって叩き出された、つまり統計処理されたもののなかから平均値を割り出し、それによって「社会的振り分け」を行うからである。では、社会的振り分けとはなにか。それは、リスク管理との関係のなかで決定される、ジェンダー・民族・地域・年齢・社会=経済的地位などによって人口をカテゴリ化し、人々を異なる扱いに処することである。ライアンはここで積極的にフーコー=アガンベンを援用して、監視社会の社会的排除の側面を照らし出す。2017/12/20

オブ犬

1
読み切ったは読み切ったのだが、言い回しなど難しくてあまりよく分かりませんでした。時々身近で面白い例もあったが概念的な話になるとちょっと…。小説の例で出てくる『侍女の物語』というのが読んでみたくなった。2014/07/03

山島 小吉

0
「見る」と「見られる」の権力構造は変化している。監視は統治機構と結びつき、「見る」者を特権化し、多くの「見られる」者は統治者の下カテゴライズされ、演技を強制され続けた。しかし、現代になり国家の力が弱まると、監視は商業ベースに、そして監視の主体が企業になり複数化した。電子メディアの発達の中、自動化する監視システムは情報を常に蓄え続け、そこには「見る」者のデータも含まれた。「見る」の特権化は「見られる」側にも成ることにより崩れ、現代では監視システムが蓄えるデータにアクセス可能かどうかに権力構造が移っている。2013/06/16

Stemonitis m.(すてもに)

0
「監視」それ自体についての理論的な本。スタディーズというだけあって、分析は多岐にわたるがその分論行がややふわふわしていた印象。とはいえ「監視を一方的な権力として捉えるのでなく、具体的な相互行為として見ていく必要があるよね」という主張には頷ける。具体的な相互行為について、緻密な記述があるわけではないが。2012/08/17

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