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私の日本語雑記

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  • サイズ B6判/ページ数 256p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000257725
  • NDC分類 810.4
  • Cコード C0095

出版社内容情報

精神科医として高名な著者は、名随筆家・翻訳家としても知られ、多くのファンを獲得してきた。本書は、その独特の文章感覚や文章表現の極意を紹介する魅力的なエッセイ。文化論・実践的言語論として卓抜な洞察が満載。

内容説明

精神科医、またエッセイスト・翻訳家として知られる著者の豊かな言語経験を、初めてまとまった形で書き綴ったオリジナルな日本語「随論」。著者の文章感覚や文章表現の極意ともいうべき日本語の実践的使い方論、著者自身の言語形成にかかわる個人史、外国詩の翻訳経験にもとづく文章論的発見、言語文化・文明論的な巨視的洞察など、全編、著者ならではの創見に富み、刺激的です。

目次

間投詞から始める
センテンスを終える難しさ
日本語文を組み立てる
動詞の活用形を考えてみる
言語は風雪に耐えなければならない
生き残る言語―日本語のしたたかさとアキレス腱
では古典語はどうなんだろうか
最初の精神医学書翻訳
私の人格形成期の言語体験
訳詩体験から詩をかいまみる
文化移転としての詩の翻訳について
訳詩という過程
翻訳における緊張と惑い
われわれはどうして小説を読めるのか
日本語長詩の現実性
言語と文字の起源について
絵画と比べての言語の特性について
日本語文を書くための古いノートから

著者等紹介

中井久夫[ナカイヒサオ]
精神医学者(精神病理学)。神戸大学・甲南大学名誉教授。1934年生まれ。京都大学医学部卒業。名古屋市立大学医学部助教授、神戸大学医学部教授、甲南大学文学部教授、兵庫県こころのケアセンター初代所長、ひょうご被害者支援センター理事長を歴任。芸術療法学会賞、読売文学賞、毎日出版文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

52
【日本語を話したり書いたりする時、いちばん迷うのは文末処理。すなわち文の閉じ方である】著者の豊かな言語経験を書き綴った書。日本語の実践的使い方論など、著者ならではの卓見が散りばめている。<古語のほうが助動詞は明快で文の骨格も鮮明である/格調が高く、歯切れがよい。/今なお文語訳の聖書には文語独特の力があって、これで初めて聖書に接した者には、口語訳はとうてい「聖霊に満たされて訳した」とは思えない憾みを感じてしまう。「ソロモンの雅歌」の訳など、これに匹敵する近代文学の長詩があろうかとさえ思う>と。強く同感――⇒2024/08/16

ほう

25
翻訳者としての視点に立って書かれている一冊で、私にはやはり難解な内容だった。所々差し込まれる幼い頃の出来事などを拾い読みしただけになってしまった。2022/02/22

奥澤啓

21
私の知り合いに精神科医がいる。その人が中井久夫氏と面識があり、氏の周囲の人は中井氏のことを「天才くーん!」と呼んでいるのだそうだ。この「くーん」という時の抑揚がミソなのだが、文字では伝わらないな。中井氏は卓越したエッセイストであり、名翻訳家であり、語学者でもある。要するに、傑出した言葉人間なのだ。そういう人が初めて日本語だけに焦点をあてた本を出した。おもしろくないはずがない。「言語は風雪に耐えなければならない」、「文化移転としての詩の翻訳について」に特に深い考察がある。作家の文章読本とはちがう視点が豊富。2014/10/22

Bartleby

12
精神科医・中井久夫による日本語にまつわるエッセイ。目からウロコだったのは、英語に関する所見。英語は、デーン人の支配を受けたせいで、「屈折語」から格変化の少ない「孤立語」になったという指摘。「孤立語は奴婢の言語であった歴史の傷跡でもある。」英語の感染性の秘密はここにあったのだ。帝国主義政策はとりあえず措くとして、奴婢の言語として単純化をこうむった結果の柔軟性が、世界的伝染に一役買ったのだろう。2023/04/03

fonfon

8
「図書」に連載がはじまったときから楽しみにして、切り抜いては読み返し、単行本化されるのを待ち望んでいた。私にとって中井久夫、という名はまず「文学者」としてあらわれる。「雑記」などという謙遜にだまされてはいけない。これは、著者と詩との関わりを精緻に綴った自伝であり、見事な言語観を提示した、 21世紀の「文章読本」である。ことばとことばの指し示すものとの隙間をひたすら凝視し、その音調に耳をかたむける真摯な態度に私は平伏する。凡百の小説家がものした文章読本はすっかり淘汰されるであろうが、これは歴史的名著。絶賛!2010/05/28

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