出版社内容情報
目に光を失った経験,骨折,砂遊び…….自身の体と体験をとおして芸術を生みだす心のしくみを探る.
内容説明
芸術を生みだす心のしくみとは?子どものころの砂遊び、背骨を折った経験、片目の光を失った経験…。絵を描く心の起源を探究する異色の研究者が、自身の体と体験をとおして感じたことを軸に綴る。アートとサイエンスの交差する場をフィールドに「!」を探し、そこにアーティストの「!」やサイエンスの「?」を添えた珠玉のエッセイ集。
目次
からだとこころ
サイエンスの視点、アートの視点
チンパンジーとアール・ブリュット
洞窟壁画とアール・ブリュット
手の想像、目の想像
考える、考えない
自由と不自由
自然の美、人工の美
美しい、怖い
弥生人と絵文字
わかる、わからない
在と不在
上手い、おもしろい
木を見る、森を見る
仮想と現実
二次元と三次元
要、不要
単純と複雑
主観と客観
著者等紹介
齋藤亜矢[サイトウアヤ]
1978年茨城県生まれ。京都大学理学部、京都大学大学院医学研究科修士課程を経て、東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了(博士(美術))。京都大学野生動物研究センター特定助教、中部学院大学准教授などを経て、現在、京都造形芸術大学文明哲学研究所准教授。専門は芸術認知科学。絵を描くこころの起源について研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まこみや
41
全体を総括するキーワードは「反転」だ。もう少し丁寧に言うと、著者の発想の根幹にあるのが、二元論の狭間に立った「図と地との反転」だと思う。経歴もそうだ。理学部、医学研究科修士を経て、藝術大学美術研究科博士課程を修了する。研究対象は芸術の科学と科学の芸術である。題名も「ルビンのツボ」だし、章の見出しも「からだとこころ」、「考える、考えない」、「わかる、わからない」、「在と不在」「主観と客観」と並ぶ。視点を変えることで見え方の揺らぎを楽しむことを教えてくれる。偶然手にした本ですが、とてもお得な気分になれました。2022/08/17
けんとまん1007
34
サイエンスと芸術の間を自由に行き交うことができると、人間は自由になれるんだなあ~と思う。その基本にあるのが、いろんな見立てをするということ。つまり、視点・立ち位置をどこに置くのかということ。しかし、これが難しいことでもある。でも、いろんなことを感じて「!」と思うことから始めると、一歩ずつ近づける。2020/07/06
まさ
26
おもしろかったー!「!」の連続で付箋だらけになった。これがどれも「!」であるから嬉しくもなってくる。視点を少し変えること、それは遊び心でもあると思う。学ぶことが汎用性を持たせることでありつつ「わたし」を深化させることに繋がっていくのだと改めて実感です。自分の体験を軸に、五感のアンテナにかかるものをを大切にしたいな。2022/01/23
アルパカ娘
4
自分も表現したくなるそんな本だった。歳を重ね自分は凝り固まったモノの見方をして色々な枠の中で鈍感に生きてた気がした。視点をずらしてモノをみて枠から外れて感性豊かに生きたい。私もばかばかしいこと、無駄なことを真剣にできるおとなでありたい。2025/03/17
青い実
4
理学、医学、芸術学、教育学と離れた分野に身を置いてきた著者独自の視点が面白い芸術にまつわるエッセイ。世界をありのままに捉えること、その複雑性を視ることができる目を養うこと、何よりも実際にからだで感じること。このような自然から直接学ぶことの重要性が、多分野のアーティストによる言葉や作品を参照しながら語られる。全てに著者の心の動きが感じられる温かい文章で、絵を描く身として肝に銘じておきたい言葉がたくさんあった。2024/01/28