出版社内容情報
憲政史上初の女性党首・首班指名を受けた土井たか子、史上唯一の自民党総裁候補小池百合子。しかしいまだ首相はおろか女性衆議院議員は一割未満だ。男性中心の政治を変えようとしたマドンナ旋風そして「政界女風見鶏」、最も首相に近かった二人の対照的な軌跡から、コロナが炙り出した日本政治の弱点に切り込む。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てくてく
8
女性首相にもっとも近いところまで行った土井たか子氏と小池百合子(こちらはまだ政治家として現役だが)の政治家としての生き方などを分析することを通じて、海外の様な女性リーダーが生まれるためには何が日本に、あるいは日本の女性政治家に不足しているのかを考察している。真逆な印象を受ける2人だが、両者が不得手だとする党運営は世襲議員であったとしてもまだ日本では難しいかもしれない。それでも土井たか子氏が選挙に登場した時よりは女性の国会議員も増えているのだから、女性首相の登場を見るのはまだあきらめていない。2021/09/05
どら猫さとっち
6
小池百合子と土井たか子。首相にいちばん近い存在だった2人は、何故なれなかったのか。彼女たちの栄光と挫折をたどりながら、日本に女性首相がいないのは何故かを検証する画期的な政治論。小池百合子は、石井妙子「女帝小池百合子」で読んだこともあり、かなりあざとく強かなな面が鼻についた。土井たか子は、まともな政治観でまっすぐな方だったが、首相になれなかったのは、本当に惜しい。自民党総裁選の頃に読んだだけあって、これは考えなくてはならないことがたくさんあった。男性に読んで欲しい一冊だ。2021/09/26
代理
3
クソ本。女性政治家として両極端な二人を描くことで女性政治家の幅を~とか書いてるけど大失敗してると思う。個人史のまとめ方が雑。土井の能力不足は全て『要領の悪さ』とポジティブに捉え、小池の達成は全て『パフォーマンス』と腐す文章の党派性がすごい。小池のアザや子宮摘出の時期にまで噛みつくのはさすがに引く。2024/06/23
guanben
3
小池百合子と土井たか子。俗物と堅物。政治屋と学者。対称的な2人の足跡を紹介しているが、より多くの女性政治家を育成しなければ、という筆者の主張とイマイチ噛み合っておらず消化不良。また、先行研究の引用で構成されているため、新しい百合子像・たか子像を提示できておらず、これも残念。人を語る時は、本人や関係者への取材をして欲しい。期待していたので残念な一冊。2022/05/11
Yoshiko
2
末尾の「国のトップになる三つの道」はなるほどと思う。②政党のインサイダーが土井たか子、③アウトサイダーが小池百合子と分類されるとなると、②がだめで③が好ましいというイメージとは逆だといえる。結局は政党がどれだけ力を蓄えられるかということではないか。その意味で、社会党が「保守化する労組に固執するという誤った路線」をとったことにより、女性政治家を育てるという土井の路線が引き継がれなかったとの指摘は正鵠を得ていると思うし、現在の立憲民主党にも通じる日本のリベラル野党の課題だと思う。2022/01/29