内容説明
時は、大正のはじめ。26歳のまっすぐで血気盛んな青年北川光雄は、絶世の美女、野末秋子に出会った。場所は、九州・長崎県の片田舎にある幽霊塔と呼ばれる時計塔。惨殺された老婆が幽霊となって徘徊すると噂されるところだった。秋子は、そんな場所で何をしようとしていたのか。秘密を抱えた秋子に、光雄は惹かれていき…。夥しい数のクモを飼う男、「救い主」と呼ばれる不思議な医学博士、猿をつれた太った女―怪しい人物たちが二人の周囲で暗躍する。そして時計塔の秘密とは?江戸川乱歩の名作が、宮崎駿のカラー口絵とともに蘇る!波乱万丈、怪奇ロマン。
著者等紹介
江戸川乱歩[エドガワランポ]
本名、平井太郎。1894年10月21日三重県名張町生まれ。1916年早稲田大学政治経済学科卒業。1923年『二銭銅貨』でデビュー。日本推理作家協会初代理事長。1965年7月28日没
宮崎駿[ミヤザキハヤオ]
アニメーション映画監督。1941年1月5日東京生まれ。1963年学習院大学政治経済学部卒業。2014年にアメリカのアカデミー名誉賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
266
天野喜孝絵が表紙だった江戸川乱歩推理文庫以来の再読。もっと冒険活劇な印象が残ってたが読んでみたらそうでもなかった。時間が経つにつれ脳内補正が入ったらしい。とはいえ内容はやはり面白く、主人公が癖のある人物たちと機転と行動で渡り合い切り抜ける様がサスペンスフルで読み耽る。また鳥肌が立つような蜘蛛屋敷の描写、人間改造術、そして幽霊塔探索行など猟奇怪奇な見せ場に溢れる。宮﨑駿の口絵による幽霊塔ビジュアル化も雰囲気を盛り上げるし、黒岩涙香版、灰色の女にも言及があり絵で読む解説として素晴らしい。実際にアニメ化してよ!2015/07/27
nuit@積読消化中
180
言わずと知れた乱歩の有名な本作に、なんと!贅沢なことに巻頭に宮崎駿監督のオールカラー解説16ページが載っております。まずは乱歩の本文を読み、その後ジ〜ックリ時間をかけて宮崎監督の幽霊塔各層断面図に見入るという至福な時を味わえました!知らなかったのですが、宮崎監督は幼き頃読んだ『幽霊塔』に大きく影響を受けたらしく、2015年にジブリ美術館にて企画展まで開催していたとのこと!その時の解説パネルが巻頭の口絵。監督の妄想が炸裂しております。それだけでも、手に取る価値ありです!2017/09/07
starbro
165
江戸川乱歩の没年に生を受けた(結して生まれ変わりではありませんが)からかどうかは解りませんが、40年程前に少年探偵団シリーズを読んでから、読書好きとなりました。江戸川乱歩は私にとって特別の作家です。『幽霊塔』は何度も読んでいますが、江戸川乱歩の中では、冒険ありロマンスありで大変好きな作品の一つです。さすがに幼い頃初読したワクワク感はありませんが、宮崎駿拘りのカラー解説口絵の効果も大きく、十分楽しめました。ジブリでの映画化も期待したいと思います!2015/07/12
ehirano1
150
怖いけど途中下車できない、というか寧ろしたくないwww、そんな感じが終始続きノンストップの完全のめり込み読書となりました。楽しかったなぁ。乱歩の大作をまた一つ味わえたことに感謝しかないです。2023/04/17
優希
136
宮崎駿のイラストにジャケ買いしました。面白かったです。怖くて美しい幽霊塔の世界。大正時代の独特の空気の中で繰り広げられる怪奇ロマンに魅了されました。惨殺された老婆が彷徨う時計塔、怪しい人物たち、謎が謎を呼ぶ手に汗握る展開。宮崎駿に誘われ踏み込んだ乱歩の世界。もうどっぷりでした。乱歩は時代を経ても変わらない魅力があるなと思います。2015/11/10