有害コミック撲滅!―アメリカを変えた50年代「悪書」狩り

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 422,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000254151
  • NDC分類 726.1
  • Cコード C0036

出版社内容情報

暴力・流血・性的シーンが少年非行を助長するという世論によって,アメリカから「有害コミック」が一掃され,800人以上の原作者や作画家が追放された.本書は,1950年代前半に起こった事件を丹念に調べ,当時の関係者に取材して詳細を明らかにした労作.日本の悪書追放運動との関連を考察する「訳者あとがき」を付す.

内容説明

一九五〇年代前半のアメリカで、暴力・流血・性的シーンが少年非行を助長するという主張に世論が同調し、「有害コミック」が一掃された。コミックブックの黄金時代は一気に終焉を迎え、九百人近い原作者や作画家たちが追放され、二度と復帰することはなかった。本書は、当時の関係者に取材し、何が起こったのかを詳細に裏づけた労作。日本の悪書追放運動との関連を考察する「訳者あとがき」を付す。

目次

社会なんかくそくらえ―アメリカン・コミックス誕生
金かせぎだったのさ―コミックスのゴールド・ラッシュ時代
犯罪はひきあう―犯罪コミックス大躍進
若者が危ない―カトリック教会の禁書リスト
血だまり―コミックス弾劾の声
では、ぼくらがなすべきことをしよう―有害コミックスを燃やせ!
ウーファーとツイーター―大騒ぎは続く
ラブだ…ラブだ…ラブなんだ!!―花開くロマンス・コミックス
ニュートレンド―ホラー・コミックスの大ブーム
頚静脈のなかのユーモア―ゲインズとカーツマン、『マッド』創刊
パニック―『マッド』の姉妹紙『パニック』
ペイン博士の勝利―ワーサムの新著『無垢なる者たちへの誘惑』
われわれは何を怖れているのか?―公聴会が開かれる
もう、うんざりなんだ!―ゲインズは反撃したが
マーフィーの法則―コミックス・コードという自主検閲
受難は続く―ゲインズが選んだ道

著者等紹介

ハジュー,デヴィッド[ハジュー,デヴィッド][Hajdu,David]
音楽と大衆文化の評論家。コロンビア大学大学院教授

小野耕世[オノコウセイ]
国際基督教大学卒。NHK教育局、国際局勤務を経て、映画とコミックスの評論、翻訳で活躍。2006年、手塚治虫文化賞特別賞受賞。現在、国士舘大学客員教授

中山ゆかり[ナカヤマユカリ]
慶應義塾大学卒。英国イースト・アングリア大学大学院美術・建築史ディプロマ取得。美術展企画会社勤務を経て、美術関係の執筆・翻訳に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Bo-he-mian

11
アメリカに「コミックス・コード」という自主表現規制があるのは知っていたが、ハリウッドにかつてあった悪名高い「ヘイズコード」など比較にならない厳しいものだという事は初めて知った。暴力や性表現は元より「権威者たちに対する軽蔑を生み出すような表現はNG」要するに国家権力や有力者を批判したりおちょくってはダメ、というのにはひっくり返ってしまった。お前らはプーチンや習近平か! と言いたくなる。キリスト教保守主義社会は、ほとんど独裁国家としか思えないヒステリーを生み出す。禁酒法、赤狩り、そしてコミックは焚書に・・・。2022/11/16

すけきよ

11
50年代のアメリカでは「悪書」としてコミックスが告発される事態が起きていた。そもそもは、精神科医ワーサムなどが「コミックスが少年犯罪を引き起こしている」という、日本でもここ20年、耳にたこができる言い回しがきっかけ。恐ろしいのは、コミックの作り手側がまるで空気を読めておらず、どうせマンガ嫌いが騒いで終わりだろ、と高をくくっていたら、いつの間にか「コッミクス=悪」という風潮になっていたこと。これって、日本の我々(マンガ好き)にも言えることで、気づいたら、漫画規制が通っていた、という事態になっていそうな恐怖。2012/06/03

Nekono

5
「悪書」コミック有害論はいつでも青少年のための健全育成を謳って行われる。時に公的に、時にマスメディアによって、そして、多くは尻馬に乗る市民感情によって行われる。この本ではザ・スピリッツをはじめ初期のアメコミの歴史(マッドの誕生を含む)栄光と没落を読むことができる。後書きの中では、日本でも今から60年ほど前に実際に有害漫画(手塚さん含む)の焚書が行われたことに触れられている。今の世の中を見るとこうした動きは他人事ではないし過去のことでもない。幾度も繰り返される愚行としか言いようがない。温故知新。2015/06/29

midnightbluesky

5
戦後の民主化でありとあらゆる大衆文化が花開いた日本なのに対し、終始自由を謳歌するアメリカは、時として驚くべき極端な統制を行うことが多い。禁酒法しかり、赤狩りしかり。焚書まではあったとは。2012/10/14

matsumoto@読書中

2
「有害コミック撲滅!」読了。コミックスが少年非行をもたらしている―という誤謬をなんら検証することなく(反対意見は無視し)、アメリカ全土で次々と禁止し、また焚書していく過程はまさに魔女狩り。60年前とはいえ、こんなことが実際にあったとは! 数百人ものライター、アーティストが、コミックスを生業にしているというだけでまるで犯罪者あつかいされ、職を失ったのだから、恐ろしい。丹念な取材に裏づけられた労作。2012/06/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/4677605
  • ご注意事項