出版社内容情報
ユダヤ伝統の聖書注解の歴史に秘められた、精神史の諸問題を発掘する。キリスト教の神学・聖書学とは異なる独自の解釈方法、スピノザを軸とする、聖書の読み方の革命的な転回ーユダヤ的なるものの原像を追い、ヨーロッパ「近代」のもう一つの顔に迫る。
内容説明
ユダヤに蓄積された、聖書のもう一つの読み方。ユダヤ精神の水源に映る、ヨーロッパ「近代」の姿とは。ユダヤ伝統の聖書解釈の技法と文法学。スピノザを軸とする、視点の転回と変容の跡を追い、キリスト教的な解釈学の無意識の前提を明るみに出す。ユダヤ的なる批判精神の原像と「近代」。
目次
歴史への批判意識はいつ始まるのか―古代の聖書パラフレーズから
1 文法学者の文化と写字生の伝統―古代から中世へ(イスラエル古典学の三つのメルクマール;本文批評の二つのアプローチ;ラテン語文法学者とラビの聖書解釈―「逆転」という解釈テクニック ほか)
2 ラビの聖書解釈とスピノザの視点―中世から近代へ(メタファーとプシャット―中世ユダヤの意味論の骨格について;中世ユダヤ哲学におけるクレスカスのマイモニデス批判―口伝律法は書きうるのか;スピノザのマイモニデス批判―テキストの内側と外側の境界 ほか)
3 ユダヤ学と旧約学の交差―近代と聖書研究(近代の旧約学とユダヤ学;聖書本文批評と初期の聖書注解;中世ヘブライ語文法と近代―ヒトパエル動詞の「再帰」について考える)
新たな歴史批判の始まりに向けて―「タナッハ」構造とユダヤ・アイデンティティ