出版社内容情報
前世紀の終わり、作家は自らの足で世界の紛争地帯を旅した。戦禍に苛まれた、ふつうの人々に接して感じた悲しみ、酷薄さ、寂しさ、無力感を想起し直し、いま一度、平和の意味を、成熟した小説家としての目をとおして問い直す。
内容説明
前世紀の終わり、作家はみずからの足で世界の紛争地帯を旅した。黄熱病に罹患しかねない地の果てで目にしたものは、なんだったのか。戦禍に苛まれた、ふつうの人々に接して感じた悲しみ、酷薄さ、寂しさ、やるせなさ、無力感を想起し直し、いま一度、平和の意味を、成熟した小説家としての目をとおして問い直す。
目次
黄色い紙の事情
イズント・シー・ラヴリィ
雨の女たち
戦車の墓場
紅い花
人を待つ人
ひまわり
プノンペンで転んだ
螢が
メラーキャンプ
彼の戦場
花火
著者等紹介
原田宗典[ハラダムネノリ]
1959年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1984年に「おまえと暮らせない」ですばる文学賞佳作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
美登利
93
これは宗典さんが実際に経験した話なんだ。1997年、世界中の紛争地域にいる日本人の若者たちを訪ね歩くドキュメント。始めはただの物語だろうと思っていました。主人公は作家だけど宗典さんの雰囲気はそれほど感じられなかったから。後半に来て、エッセイにも繰り返し書かれていた病の症状の描写が出てやっとご本人なんだと理解しました。それから21年。今も戦争がしたくて傭兵志願する若者が居るのだろうか?その部分は読んでかなりの衝撃を受けたのですが。平和の為に海外に飛び立つ者に日が当たる一方で、少なからず居るのだろう。2018/08/18
mami
19
21年前。まだ時代は20世紀の頃に紛争地域を訪れた原田さんのドキュメントをまとめたもの。番組のインタビュアーとして抜擢されたらしい。何故?そんなのプロのジャーナリストに任せたらいいのに、などと思いながら読み始めて気づいた。作家じゃなければ気づかない視点を求められたんだなって。実際読み終えた私は悲惨な事実よりも、デッサンされた花の件が強く印象に残った。21年が過ぎてもこの地球上で起こっていることは何の進歩もないのだなという無力感と共に。2018/10/04
つぶごま
16
筆者が様々な土地で出会った人々の姿が心に残りました。自分なりに大切なことを考え直すきっかけをもらいました。2024/12/01
ATS
9
紛争地域を巡ったときのエッセー集。戦争はやっぱりよくない!のような感想では物足りないが、かといって様々な感情が去来するためなんとも表現が難しい。日本に住んでいることが本当にありがたいことだなと思う。スイッチひとつで電気がつき、蛇口を捻れば安全な水が出てきて、地雷の心配をせずに自由に歩ける。もちろんそれだからといって進歩や向上心を否定するようなことに至ってはいけない。戦争だって貧富の格差が拡大して起こることも多いのだから、国民は不断の努力で国家の安全保障を志向する必要がある。憲法にも明記されるからね。2021/06/26
minazuki
9
書店で見て、なんとなく買ってしまった。カバーの黄色に引き寄せられたいわゆる「ジャケ買い」? でも、読んでよかった。1997年、NHKから「世界各地で『戦争と平和』にかかわる活動をしている若者たちを取材」するレポータ役を依頼される。黄熱病の予防接種を受け、各国をめぐる。タイトルの意味はそういうことだろう。読んだ感想はというと、まだ言葉にならない。もう少し考えてみたい。2018/07/26