麦主義者の小説論

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  • サイズ B6判/ページ数 304p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000249010
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0095

内容説明

現代日本を代表する作家による、初めての小説論集。「麦主義者」としての作家の出発を促し、また方向づけた十代の読書経験と、上林暁、徳田秋声、志賀直哉、川端康成、太宰治など近代日本の作家たちについて(第1部、第2部)。自分自身を書くことは他者を書くことであるという「私小説」の核心をめぐって(第3部)。著者の小説世界に大きな影響を与えてきた三浦哲郎と古井由吉の文学をめぐって(第4部、第5部)。さらに、ときには反発しながらそれぞれの文学観に学んだ作家たちについて(第6部、第7部)。作家、佐伯一麦の文学はもちろん、日本の近現代文学に親しむための扉としても読める、貴重な本。

目次

1 麦主義者の出発
2 近代日本の作家たち
3 私小説論
4 三浦哲郎―「私小説」と「私小説家」
5 古井由吉―ガイストの芸術
6 作家の姿形
7 レクイエム

著者等紹介

佐伯一麦[サエキカズミ]
1959年、宮城県仙台市に生まれる。仙台第一高校卒業後、週刊誌記者、電気工など様々な職業を経験した後、作家となる。著書に、『渡良瀬』(岩波書店、伊藤整文学賞)、『還れぬ家』(新潮社、毎日芸術賞)、『ノルゲ』(講談社、野間文芸賞)、『鉄塔家族』(朝日文庫、大佛次郎賞)、『ア・ルース・ボーイ』(新潮文庫、三島由紀夫賞)他多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ウイロウ

8
再読。あとがきの冒頭で述べられている通り、〈あくまでも実作者の立場から、文庫の解説などを折々に求められて執筆したやや長めの文学に関わるエッセイを集めたもの〉が本書である。取り上げられる作家や作品は幅広く、しかし著者の関心が私小説に向けられていることは明らかで、とりわけ和田芳恵や水上勉らを巡って私小説と虚構と詩的真実の関係を論ずるくだりはスリリングだった。ゴッホの書簡集が〈過激な私小説とも読める〉というのも面白い。佐伯氏にとって重要な作家である(だろう)三浦哲郎と古井由吉については独立の章が設けられている。2016/08/22

踊る猫

6
氏が手掛けた「実作家」の立場からの「小説論」。批評家を志していたとか書かれているが、単なるエッセイに留まらない広がり、しかし地道に堅実にロジックを組み立てて行くところは賛否両論を呼ぶのかもしれない。野口富士男や志賀直哉など、色々な作家の小説を読みたくなってしまったのだがやはり外せないのは古井由吉氏であるようだ(阿部昭も読みたくなったが)。「私小説」にこだわり、なおかつ身辺雑記に留まらない深まりを探っているこの作家が果たしてどのような「実作」をものしているか、興味が湧いて来た。なかなか侮れない一冊と思われる2017/04/12

ブルーツ・リー

4
保守とリベラルで書いてしまうと、政治色が強くなりすぎてしまい、本来語りたい事から外れてしまうため、ここでは「正統」と書くが、長らく純文学の正統は、文壇が占め、そこでは経験と直感が重視される。思想は余り重視されず、私語りは嫌われる。 自分が難しいのは、何某かの権威は必要ではないかと感じているのだが、文壇の権威は、まさに排他的極まりないもので、石原慎太郎くらいならばかわいいもののようにすら思えるような、マッチョな世界。 権威が必要と言っても、酒とタバコと暴言が支配する世界では、実世界の権威よりなお悪くないか。2023/03/24

hasegawa noboru

4
文章によって自画像を描く試みが「私小説」だという作家の小説論作家論を集めた本。作家が敬愛するという画家ゴッホは数多くの自画像を描き、麦畑もまた多く描いた。麦主義者とは〈もっとも親しく、見慣れたものを仔細に描くこと〉を心がけてきたという意味の自称だという。〈描く対象が作者と直結するのは、感覚や観念からではなく、生活を通してだ〉という、まともな?(古いと言えば古いが)真摯な姿勢が伝わるエッセイ集である。2015/04/05

zuckermen08

2
定点観測の文学を、深呼吸しながら読もう。2015/04/12

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