出版社内容情報
「過ちは過去を忘れることから始まる。私は過去を、未来の中に埋め込んでおきたい。この本は、未来に対する仕込みとしての過去なのだ。」読むべき小説がある。待たれる言葉がある。居るべきところがある。持つべき心がある。――忘れないために。真に自分を取り戻すために。生きるために! 小説界のファンタジスタ、待望の初エッセイ集。
内容説明
過ちは過去を忘れることから始まる―。デビューから現在に至るまで書かれてきたエッセイを精選。作家の源流をたどる始まりへの旅として、待望の初エッセイ集。
目次
耳のメガネ
宗教国家日本
黙って座ったまま
死者たちの迷宮メキシコに呑まれて
「戦争」と文学
ウリ感覚―韓国滞在記
死にたがる社会のバッシング
震災を語る言葉を待つ
change of role
言葉を書く仕事なのに、何と言っていいのかわからない〔ほか〕
著者等紹介
星野智幸[ホシノトモユキ]
作家。1965年、アメリカ・ロサンゼルス市生まれ。88年、早稲田大学第一文学部卒業。新聞社に2年半勤務した後、91年から95年のあいだに2度にわたってメキシコへ留学。97年、『最後の吐息』で第34回文藝賞を受賞しデビュー。200年、『目覚めよと人魚は歌う』で第13回三島由紀夫賞、03年、『ファンタジスタ』で第25回野間文芸新人賞、11年、『俺俺』で第5回大江健三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たんたん麺
12
星野さんのエッセイと似たことはオレもあったなー!「宗教国家日本」は旧友が政治なんか関心なかったのにナショナリストになってたという内容です。オレの友だちも久しぶりに飲みに行ったら天皇陛下の話ばかりしてるし、剣道の試合観にいけばみんな起立して国旗に向かって礼してたな!オレみたいにパンクばかり聴いてるととりあえず反対に行ってみようとなるから生きづらいね!2014/11/30
momo
9
著者が1997年にデビューしてから2014年に至るまでの十七年間に書いた小説以外の文章が、年代とは逆順に並べられています。選り抜かれた文章ですが、一つだけの年もあるのでもう少し多く取り上げてほしかったと思います。「俺俺」は時代の空気、人々の心の状態が見事に反映されていると思いました。本書でも1980年代から現在にいたるまでの時代をどのように考えていたのかを鋭く指摘しています。その中でも星野さんの個人的な内容に触れた文章が切実に感じられて、とても心に残りました。題名に星野さんの考えが集約されていて素敵です。2015/12/12
みゃお
4
タイトルで選んでみたら、エッセイ集でした。 時間軸をさかのぼっていく配置やタイトルの意味合いは、あとがきを読んで判明。 話題は、多岐に渡り 共感や反省 気づきが、たくさん。 作家が危惧してい方へ 世界が傾いていっているような気がする。2021/09/07
goえみ
3
かつてよく読んでいた星野さんの小説は、てっきり男性かと思っていた人物が途中で女性とわかり、めまいがしてもう一度最初から読み直すこともありましたが、なんとこの著者初のエッセイにもそんな展開があり、クスッとしました。南米、自分の見る夢のような舞台、と有無を言わさず魅かれる作家さんですが、サッカーファンと知り、ますます親近感が。『遊戯の始まり』『年代順の呪い』などたまりません。もちろん2000年前後からの社会を斬る鋭い視点もあります。最近ご無沙汰していた星野さんの小説をまたよみたくなりました。2015/01/02
どっち
2
2014年から1998年への年代遡りエッセイ集。 日本社会や政治への語りが熱い。そして、メキシコ生活経験の話しがよかったです。2015/05/08