内容説明
古代の王政復古を掲げて近代国家の仲間入りを図った日本では、記紀神話に民族のルーツを求めて大和民族という概念が創り出されるが、古代に遡る民族設定は大和に「まつろわぬ」人々とされた出雲、エミシ、クマソ等の民族も同時に生み出した。混合民族論が主流だった日本で、戦後単一民族論が拡がったのはなぜか。大和中心のNation Building(民族意識や国民の形成)を出雲、エミシ、クマソの視点から捉え直し、同質社会観で覆い隠された日本人内部の多様性を解き明かしながら、多元国家観に基づく民族意識の再構築を説く。
目次
第1章 出雲からみた民族の創出
第2章 言語不通の列島から単一言語発言への軌跡
第3章 二人の現津神―出雲からみた天皇制
第4章 創られた建国神話と民族意識―記紀と出雲神話の矛盾
第5章 島国観再考―内なる多文化社会論構築のために
第6章 アテルイ復権の軌跡とエミシ意識の覚醒
第7章 クマソ復権運動と南九州人のアイデンティティ
第8章 新たな民族の誕生―池間民族に関する考察
終章 同質社会幻想からの脱却と多元社会観の構築
著者等紹介
岡本雅享[オカモトマサタカ]
1967年、出雲市生まれ。島根県立出雲高等学校、明治学院大学国際学部卒業。北京師範学院、中央民族学院留学。横浜市立大学大学院国際文化研究科修士課程、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。国際学修士。社会学博士。現在、福岡県立大学人間社会学部准教授。2008年度、サンフランシスコ州立大学(San Francisco State University)民族学部(College of Ethnic Studies)に客員研究者(Visiting Scholar)として在籍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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