民主化のパラドックス―インドネシアにみるアジア政治の深層

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  • サイズ B6判/ページ数 215p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784000248679
  • NDC分類 312.24
  • Cコード C0031

内容説明

インドネシアは、国際的な支援の下で、民主化改革を実行してきた。だが市民の自由と権利と平和が保障されるはずの「民主化」の中で、非民主的な権力構造が強化されるというパラドックスが起こっている。アジア政治の深層に内在する非民主的勢力が民主主義そのものを蝕む政治力学を、政治の現場での豊富な取材と調査で明らかにしてゆく。

目次

第1章 デモクラシーのグローバル化とスハルト体制の崩壊
第2章 ポスト・スハルト時代の政治改革
第3章 民主化移行期の混迷する権力闘争
第4章 民主化定着期の劇場政治―ユドヨノ政権の権力闘争
第5章 分離独立運動・テロ・住民紛争―治安維持の政治
第6章 民主化とアンダーグラウンドの力学
終章 民主化のパラドックス―アジア政治の深層をみる目

著者等紹介

本名純[ホンナジュン]
1967年生まれ。立命館大学国際関係学部教授。インドネシア政治・東南アジア地域研究・比較政治学。テンプル大学卒業後、国際基督教大学大学院行政学研究科修士課程を経て、オーストラリア国立大学で博士号取得。インドネシア戦略国際問題研究所客員研究員・在インドネシアJICA専門家・インドネシア大学社会政治学部客員教授などを兼任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

gogo

10
スハルト政権崩壊(1998)後から、ジョコウィ新大統領就任(2014)前の辺りまでのインドネシア政治を概観する。汚職など負の側面をある程度温存することで、既得権益を死守したい軍や政党などが民主化の大きな抵抗勢力とならず、安定した政治体制が確立されたと結論付ける。マルクやアチェでの抗争、都市のヤクザ・ビジネスについても、背景に至るまで詳述されており、興味深かった。2015/10/10

yuuuming

9
政治の変遷なんて登場人物多いし関係も複雑そうでついてけるかなと思ったけど、杞憂でした。もう猛烈に面白くて読むのやめられなかったー!この人はこういう立場の人でこの人とはこういう関係で…というのを丁寧に説明してくれるし、節目節目で先生の見立てが入るんですがそれがまた整理されててわかりやすいし、ほんとに一般の読者を対象に作られたんだなあと思いました。外見では民主化が順調に進んでいるインドネシアも、それは民兵やギャング、軍をしめつけず、共存しているが故にグレーな安定が生まれている…うーん、ものすごく納得!2016/03/30

makimakimasa

8
民主化は利権分配に絡んで国軍が要求を始め、国軍内の権力闘争が起爆剤となった。スハルトvsムルダニ(88年副大統領選び)、プラボウォvsウィラント(ジャカルタ暴動)、ウィラントvsハビビ→ワヒド(東ティモール暴動)。ワヒドは連立与党の力学を無視した大臣解任連発で弾劾、メガは夫キマスの暗躍が仇に。ウィラントの元部下で優柔不断なユドヨノvs実行力のカラ&ウィラントvsメガ&プラ。アチェの政治問題を治安問題に転嫁して復権した軍、軍の利権ビジネスが誘発したダヤクvsマドゥラ、軍vs警察の代理戦になったアンボン紛争。2023/06/16

可兒

8
アクト・オブ・キリングで、民兵のボスが「民主化しすぎだよ。だいたい民主化ってなんだ?」とインタビューでぼやいていたのを思い出す。そんな彼も存在が安定的な民主化に一役買い、だからこそインタビューを受ける立場に留まっていられる。とまれ、人々の立場や目線の解説が詳しすぎてこの本だけで腹いっぱい。政治に直接かかわる以外の話を切ったのは正解だと思う2016/06/30

2ndkt

4
▽スハルト体制後、インドネシアの民主化がどのように発展し、定着したかが描かれている。重要人物を含む関係者へのインタビューを重ねるなど、丁寧な分析はお見事。▽著者は、現在のインドネシアについて、民主化の定着と安定が評価されている一方で、汚職と権力乱用が問題視する声もあるが、「両方とも正しい」と結論付ける。(民主化のパラドックス)▽その上で、国際社会の安易な民主化評価に警鐘を鳴らし、質の悪い民主主義を変えていこうとするインドネシア国内の勢力をサポートすれども邪魔はしないということが、重要だと訴えている。2014/07/18

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