出版社内容情報
ロシア土産として世界中で親しまれているマトリョーシカ。その誕生は19世紀末と意外に新しい。アイデア源の一つに日本の木製入れ子人形がある、との説が知られているが、果たしてそれは本当なのか? 木とともに生きてきたロシアと日本の人々の暮らし、木工芸の歴史をひもときながら、マトリョーシカ誕生を巡る謎を追う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
61
【マトリョーシカの「日本の入れ子七福神」起源説は本当か?】『うらはぐさ風土記』で、この説を知り――。専門がロシア民俗学の大学教授が、ロシアと日本の民衆木工芸の歴史と文化に分け入りながら、マトリョーシカ誕生にまつわる謎を追った書。冒頭にカラー口絵8頁(中には、トルストイが折った折鶴まで)がある他、図版多数。巻末に引用・参照文献。<日本で入れ子七福神が生産・販売されていたのは明治初期(1870年代)から大正時代(1920年代)にかけてであり、特に明治30年代(1900年代)までが最盛期だったと思われる>と。⇒2024/08/24
雪紫
51
流石に硝子細工でマトリョーシカは出て来ない・・・って、マトリョーシカの歴史、意外と新しかった!マトリョーシカ、日本の入れ子七福神元ネタ説を、当時の文化やマトリョーシカに書かれた絵について説明しつつ、脱線したかと思いきやマトリョーシカにいつの間にか戻っていく。脱線に見えて実はがっつり書いてる?しかし、絵が可愛いな。2023/11/03
Nobuko Hashimoto
31
「マトリョーシカは日本の入れ子細工が起源だった」説を検証した本。検証の方法やわかったことが調査のプロセスに沿って易しい言葉で説明されているので楽しく読み進めた。結論を言えば「まだわからない」ということになるが、それでもここまでにわかったことや周辺情報だけでも充分興味深い。本題とは少しずれるが、日本に赴任していたニコライ大主教の日記に、大津事件のときロシア皇太子が手当てを受けた家をロシア人が買い取ろうと相談を持ちかけたという記録があるとのこと。面白い~。大主教日記、見てみよう!2024/01/27
takao
4
ふむ2023/12/01
月音
3
「マトリョーシカのルーツは、日本の木地玩具“入れ子七福神”」なのか?不明な点が多いマトリョーシカの考案者・製作者とされる人物とその関係者、活動の足跡を丹念にたどり、合わせてロシア・日本の木工芸の歴史、近代に入ってからの産業振興、貿易、観光事業による普及にも着目する。民衆の手になる生活用具が芸術品として認知される過程に、柳宗悦らによる民藝運動が想起された。マトリョーシカの製作工房は子供の本・玩具を取り扱っており、ラッキーアイテムと説明されたであろう入れ子七福神を子供が日常手にし、⇒続2023/11/21