内容説明
成立当初の形に近いと目される中世フランス語写本fr.2810から直接翻訳。アジアの驚異に対するヨーロッパの読者の驚きが700年の時を経て、いま甦る。
目次
1 プロローグ
2 旅のあらまし
3 小アジアからパミール高原へ
4 カシュガルから北京へ
5 大カーンの宮廷
6 北京から雲南、ビルマへ
7 北京から泉州へ
8 日本とシンの海
9 小インド―東南アジア
10 大インド―インド大陸
11 中インド―アフリカ東岸
12 大トルコ―トルキスタン
著者等紹介
月村辰雄[ツキムラタツオ]
東京大学文学部フランス語フランス文学専修課程卒業、同大学院博士課程退学。東京大学文学部教授。中世フランス文学専攻
久保田勝一[クボタカツイチ]
東京大学文学部フランス語フランス文学専修課程卒業、同大学院博士課程退学。中央大学商学部准教授。中世フランス文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
396
誰もがその本のことを知っていて、でも実際に読んだ人は極めて少ないー本書とスウィフトの『ガリバー旅行記』がその双璧ではあるまいか。さて、この『東方見聞録』が書かれたのは本文の起筆部によれば「1298年、マルコ殿がジェノヴァの牢獄にあった折に、同房のルスタピザン殿に逐一書き留めさせたもの」とある。マルコが紆余曲折の末、クレメンス(元の都)に辿り着き、大カーンの使節としてほぼ全アジアを巡った記録がこれである。大げさな記述も散見されるし、また体系性も考慮されていないのだが、未曽有の大旅行にして詳細な記録である。2021/08/18
月世界旅行したい
9
いまさら読みました。読むまでずっとマルコ・ポーロが書いたのだと思い込んでいました、違うのですね。2015/03/26
yagian
3
マルコ・ポーロの冒険譚かと勝手に思っていたけれど、冷静な地誌だった。物語を期待すると退屈するだろうけれど、Google Mapで場所を確認しながら読み進めるのは楽しい。13世紀、まだネストリウス派キリスト教が中央アジアに広がっていることが意外だった。2014/06/08
みなぽん
2
卒論のテーマに関する記述があったので借りて読んだ。該当部分とは「山の老人」の章です(笑)2013/10/15
はと
2
ヨーロッパ人のアジア観は、数百年に渡って、この本が根底にあったのだろうと思うと、興味深い。当時のキリスト教徒のひとりよがりで思い上がった感じ(無論、サラセン人もそうだったろうけれども)がそこかしこにでてきてこれも面白い。2013/02/03