出版社内容情報
欧米でテロが日常の風景となるなか、イギリスでは公教育の宗教科の教科書と授業方法を、それまでの多文化主義型から、学校・地域社会・国家・世界の諸レベルで「共同体の結束」を促進する内容に改める試みが本格化してきた。それにより宗教はどう変形され、利用されているのか。授業例や問題例を多数示しながら検証する。
内容説明
IS(イスラム国)に多数の若者が渡航しているイギリス。しかし教育界は手をこまねいているわけではない。二〇〇一年の米国同時多発テロ、〇五年のロンドン地下鉄テロを経て、公教育の宗教科の教育内容と学習目標を、それまでの多文化主義型・異文化理解型から、学校・地域社会・国家・世界の諸レベルで「共同体の結束 community cohesion」促進をめざす市民性教育型に改める試みが本格化してきた。それにより、教育のなかで宗教はどう変形され、利用されているか。宗教観や、各宗教の描かれ方はどのように変容しているか。こうした「コミュニタリアン的転回」にいたる歴史的背景を論じるとともに、その実態と問題性を、日本の教科書との比較を含め、教科書・シラバス等の資料にもとづき授業例・課題例を多数示しながら検証する。
目次
序章 宗教と教育におけるコミュニタリアン的転回
第1章 「宗教と暴力」の学習方法―日英教科書比較
第2章 イギリスの宗教教育史―コミュニタリアン的転回以前
第3章 共同体の結束へ―二〇〇〇年代以降の宗教教育
第4章 異文化理解型からどう変化したか―二〇一〇年代の教科書の分析1
第5章 公共的宗教の諸相―二〇一〇年代の教科書の分析2
終章 コミュニタリアン的転回の功罪
著者等紹介
藤原聖子[フジワラサトコ]
1963年東京生まれ。東京大学文学部卒業、シカゴ大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。現在、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部准教授(2017年4月から同教授)。比較宗教学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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