内容説明
敗戦直後の九月四日、昭和天皇は「平和国家ヲ確立」すべきとの勅語を発した。日本軍に守られることなく空襲に生命と生活を奪われた国民は、反戦反軍の意識で「平和国家」への転換を支持した。知識人はこれに「非武装・非戦」という内容を与えた。一九四六年元旦に六年生の皇太子が「平和国家建設」と書き初めに記したとき、「非武装・非戦の国家」は国民の総意となっていた。新憲法の第九条は、この天皇と国民の総意にもとづいて生まれたのだ。同時代を生きてきた歴史家が、その原点と変容に新たな光をあて、「平和国家建設」の道筋を力強く発信する。
目次
1 日本国民の敗戦体験と平和主義
2 天皇の標語としての「平和国家」
3 知識人の新日本非武装国家論
4 「平和国家」論と新憲法
5 戦後平和主義の弱点
6 戦争の中の平和国家―朝鮮戦争
7 非武装国家から非戦国家へ―平和国家の変容
8 二〇一五年の「平和国家」―いまを考える
著者等紹介
和田春樹[ワダハルキ]
1938年大阪生まれ。東京大学文学部卒業、東京大学社会科学研究所教授、所長を経て、東京大学名誉教授。東北大学東北アジア研究センター・フェロー、専攻は、ロシア・ソ連史、現代朝鮮研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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