出版社内容情報
お坊さんが立ちあがる! 寺に「お話,聞きます」の張り紙を出す,「24時間いつでもどうぞ」と携帯の番号を教える,インターネットで語り合う,何も尋ねず困窮者を受け入れる……。苦しむ人に寄り添う僧侶の姿を各地に追う.仏の教えの原点に立ち返り,見えてきたいのちとは。仏教発のあたたかいこころが日本を変える。
内容説明
わたしたちの社会の矛盾を象徴する貧困問題と自殺問題。血縁や地縁も崩れつつある「無縁社会」のなかで、僧侶たちが新たな縁を結びなおそうと動き出した。一切の例外なく「いのち」を慈しむ仏教の精神は、わたしたちが見失った大切なことを気づかせてくれる。現実を前に戸惑いながらも、人の悲しみや苦しみに寄り添おうとする僧侶たちの姿を各地に追ったルポルタージュ。
目次
第1章 路上のいのちに触れて
第2章 僧侶にもできる 僧侶だからできる
第3章 自立へ、人生のゴールへ
第4章 こころを聴く
第5章 結びなおされる縁
終章 感じる仏教・寄り添う仏教へ
著者等紹介
磯村健太郎[イソムラケンタロウ]
1960年、福岡県生まれ。1983年、朝日新聞社入社。社会部記者、外報部記者などを経て、サンパウロ支局長、ローマ支局長、アエラ副編集長などを歴任。現在、東京本社文化グループ記者として、おもに「宗教」「こころ」をテーマに執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ユカ
5
献身、まさに身を捧げている僧侶たち。どうかご自分の体も大事にしてほしい。仏教の話を聞くとただただ自分の幸せな状況が気づかされ、つまり、現状で満足しなくては、と思わされる…。家族を大事に、家族を支えなくてはね…2019/10/06
犬養三千代
5
キリスト教会の活動は時折目にしたり聞いたりするが、仏教も少しずつはじまったのだなと。この本は2011年発行。宮城県の亘理の行持院は、いまどうなってるのだろう? 寄り添うことの大切さ、 寂しいと言える相手、 、、、苦しいときの仏頼み。2017/08/10
なめこ
5
宗教家の存在が薄い、あるいは胡散臭い現代日本。でも心あるほんものの宗教家もいるんだ、ということがわかった。おむすび一つじゃなんの足しにもならない、でも気にかけている人がいるというただそれだけの力が、ないのとあるのでは大違い。祈り、という目に見えないものが、この世の中の案外多くを支えているのかも。2015/12/12
koji
4
東日本大震災で、山折哲雄さんが逸早く「寄り添う」という言葉を使っておられました。「がんばろう」が連呼されるのに違和感を感じたのは私だけではないはずです。その後報道も「寄り添う」が少しずつ多くなりました。本書は、自殺・貧困問題への仏教の「寄り添い」を書いています。筆者は、キリスト教に比べ周回遅れとなった仏教の自殺・貧困への関わりを、抑制の効いたタッチで静かに編んでいきます。最後に「名聞(自負心、おしつけ)を意識する自分のいやらしさ」を言います。人に潜む尊大さを抑えること。寄り添うとはかくも難しいものです。2011/06/10
saseri
3
そう言えば、キリスト教徒と比べて仏教の慈善団体って、あんまり聞いたことがないな、と思った。原始仏教は、生きる苦しみに立ち向かうためにまず自己鍛錬を、という教えがメインなので、そもそもがこういった活動とは、本筋が違うのかもしれない、と思いました。ただ日本仏教が、そもそもが中世の貧しい人々を救いたい、というのが発端だから、この本に書いているような活動にも、道理が合っていると思いました。”どうにもできないけれど、なんとかしてあげたい気持ち”というのが、慈悲の心、と言うのだそうです。2015/04/22