出版社内容情報
幕末維新期をはさむ約一〇〇年の間に、日本社会は根本的な転換=文明化をとげた。近代世界システムに組み込まれる過程で根底から編成替えされていく生活世界、およびそこに生きた広範な人びとの精神史と具体的な経験の全体像に迫る。
内容説明
幕末維新期をはさむ約一〇〇年の間に、日本社会は根本的な転換=文明化をとげた。近代世界システムに組み込まれる過程で、国体論的ナショナリズムを統合原理とする国民国家へと根底から編成替えされていく生活世界、およびそこに生きた人びとの精神史と経験の全体像に、多様な史料の読解を通じて迫る。
目次
序論 課題と方法
第1章 生活思想における「自然」と「自由」
第2章 民俗の変容と葛藤
第3章 近代転換期における宗教と国家
第4章 民衆運動における「近代」
第5章 明治10年代の民衆運動と近代日本
第6章 困民党の意識過程
補論1 民衆宗教と「近代」という経験
補論2 現代日本における「宗教」と「暴力」
補論3 礪波人の心性
著者等紹介
安丸良夫[ヤスマルヨシオ]
1934年、富山県に生まれる。京都大学大学院国史学専攻博士課程修了。一橋大学名誉教授。日本思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Cebecibaşı
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「宇内」に通じる近代国家を建設するために天皇制を中心とする国家体制を創出したエリート政治家たちと、変質するシステムから切り捨てられそうになる仏教や独自の慣習の中で生きているために中央権力の統制に従わない農民たちとの葛藤を通して、日本の近代化がどのように行われたかを追った労作。E.P.トムソンのモラルエコノミー論を日本の事例に即して立証した第6章は民衆史を研究するのであれば必読であるだろう。2016/11/01
たおるちゃ!ちゃ!ちゃ!
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民衆の視点、民衆の思想から歴史を捉えた一冊。氏がマルクス主義の歴史観から近代国家批判、国民国家批判へと研究の姿勢をシフトしていくのがわかるであろう。具体的な事例を数多く紹介し、民衆の立場から見た近代とは何だったのか、文明化とは何だったのかを述べている。我々現代人が考える「近代」と、近代を生きた民衆が感じた近代との間ではズレが生じる。そのズレを解消するためには、近代を生きた民衆の立場で近代を見る必要があるのだと痛感した。2015/01/21
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