出版社内容情報
トンネルをぬけると,津和野の山河があらわれた.からだは,一瞬に少年になって川を泳いでいる,死んだ友と霧の野を走っている…….故郷,懐かしい人,心に残る出会いなど,日々輝きを増す人生の記憶を綴るエッセー集.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はやしま
12
素朴な文章に人となりが偲ばれるエッセイ。故郷の思い出・友人・家族のことを赤裸々に綴っている。帯状疱疹で入院している時に読んだのだけど、偶然にも氏が帯状疱疹になり痛みに苦しむエピソードが出てきてまさに"相憐れむ"気持ちで読んだ。友人の森毅がやはり帯状疱疹にかかった時痛みを訴えていた気持ちがやっとわかったと。安野氏にとって帯状疱疹の痛みに苦しんだ経験は相当強烈だったようで、人の「痛み」はわからない、体の痛みだけでなく差別や失恋などによる心の中の痛みも他人にはわからないものだと悟ったと書いている。2017/03/16
tama
4
図書館本 安野ファン 珍しく表紙絵しか絵がない!「故郷へ;リュックサック」に安野さんが子供だった頃の水筒の話があり、読んだ途端に私の実家に昔あった父親の軍用水筒から飲んだ水の金気臭い匂いが蘇った。「蘇る記憶;線香」で高価な線香は火をつけずしまっている。好きなレコードはしまって聴かないというケチに気分に通じて・・・とのことですが、線香をしまっておくと素敵な移り香が楽しめるのですよ。「忘れえぬ人;司馬さんの最後の言葉」大笑いしました!「橋をかける;読書が養う力」本を読む習慣さえつけておけば、後はなんとかなる。2017/05/29