一〇一年目の孤独―希望の場所を求めて

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  • サイズ B6判/ページ数 184p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000245203
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

内容説明

作家は、さまざまな場所を訪ね歩いた。ダウン症の子どもたちのアトリエ。身体障害者だけの劇団。愛の対象となる人形を作る工房。なるべく電気を使わない生活のために発明をする人。クラスも試験も宿題もない学校。すっかりさま変わりした故郷。死にゆく子どもたちのためのホスピス…。足を運び、話を聞き、作家は考える。「弱さ」とは何か。生きるという営みの中に何が起きているのか。文学と社会、ことばと行動の関わりを深く考え続けてきた著者による、はじめてのルポルタージュ。

目次

いいんだよ、そのままで―ダウン症の子どもたちのための絵画教室
たいへんなからだ―身体障害者の劇団「態変」
愛のごとく―「人間以上」のものを愛することについて
電気の哲学者―非電化工房代表の藤村靖之博士
山の中に子どもたちのための学校があった―南アルプス子どもの村小学校
尾道―「東京物語」二〇一三
ベアトリスのこと―子どもホスピス、マーチン・ハウス前編
ここは悲しみの場所ではない―子どもホスピス、マーチン・ハウス後編

著者等紹介

高橋源一郎[タカハシゲンイチロウ]
1951年生まれ。作家。明治学院大学国際学部教授。1981年、『さようなら、ギャングたち』(講談社)で第4回群像新人長編小説賞優秀作受賞。『優雅で感傷的な日本野球』(河出書房新社、1988年)で第1回三島由紀夫賞受賞、『日本文学盛衰史』(講談社、2002年)で第13回伊藤整文学賞受賞、『さよならクリストファー・ロビン』(新潮社、2012年)で第48回谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヨクト

24
みな必死だ。少しでも弱さをみせると世界から切り離されてしまうようで。子ども、高齢者、障がい者、病人。弱さにもいろいろあるし、その弱さを受け入れ、その弱さを育ててくれる場所も必ずある。世界に必死にしがみついていては気づけないだけで、その弱さには大切なものがある。弱さは時に君を味方する。弱さをさらけだせる人はかっこいい。高齢化社会に突入する中で、かっこいい弱さを持つ、弱さを認めてくる、そんな人生の先輩方に出会えたら、そんな社会も不安じゃないね。2014/05/09

ruki5894

15
緩やかに坂を下っていく。いい言葉だと思う。親も年老いて自分もゆっくりと下り始めている。そんな時にこの本に出会えて良かった。2019/07/12

saga

14
社会で弱者といわれる病気や障害のある方、学会へ行けない方、お年寄りらを訪ね歩かれたルポルタージュ。そういった方々を弱者だとは勝手にこちらが思い込んでいること。反対に 自分より生きることに素直で、本当に今、見直さなければならない心を持っておられると感じた。考えさせられる本でした。2014/09/12

Foufou

11
高橋源一郎も70歳。この人の講演会を手伝って以来著作をポツポツ拝読して至る今日。古希ともなればポストモダンの旗手も「死」と向き合うのは道理、か。「『文学』というものが何に似ているか、と訊ねられたら、わたしは、あの時、抱いていた(重症心身障害の)赤ん坊のことを思い出すのである」。ダウン症児のアトリエ、身体障害者の劇団、小児ホスピス…を訪ね、「弱者」にこそ励まされ、そこに文学との類縁性を見出していく。自然に寄り添うありようもまた文学か…と、虚をつかれる思い。死に際に、文学を思い出すだろうかとふと自問してみる。2021/06/24

Naomi

11
図書館の新刊棚で、気になって。「ダウン症の子どもたちのアトリエ」や、「身体障害者だけの劇団」、「子どものためのホスピス」などを訪れたルポルタージュ。興味深かったけれど、文章が好みに合わず、流し読み。「クラスも宿題もない学校」きのくに子どもの村学園を知ることができたのは、よかった。あとがきにあった、重症心身障害児・者の通所施設「でら~と」を取り上げている、ドキュメンタリー映画「普通に生きる」を土曜日に観たばかり。映画、すごくよかった。2014/02/21

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