出版社内容情報
20世紀の廃墟の中で政治とは何かを問い続けたアレント。彼女の問いかけは、西洋政治思想の伝統に対する根源的批判へと展開した。「解答よりも問題を与える思想家」アレントの思想的営為を丹念に辿り、その多面性、兆発性を余すところなく描く。
内容説明
20世紀の廃墟をこえて政治/哲学は何をなすべきか。アレントの問いから浮かび上がる現代思想の隘路。
目次
第1部 影響と対決(ハンナ・アレントはハイデガーをどう読んだか;現代思想の中のハンナ・アレント―一九五四年アメリカ政治学会報告を中心に;帝国主義と全体主義―ハンナ・アレント、ローザ・ルクセンブルク、ホブスン)
第2部 複数の読み方(ハンナ・アレントと現代政治哲学の隘路;ハンナ・アレントと日本の政治学)
第3部 作品について
著者等紹介
川崎修[カワサキオサム]
1958年生まれ。東京大学法学部卒業。現在、立教大学法学部教授。専攻は政治学・政治学史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
1
「概念の人格化」とか「人格化された力」(50ページ~)は興味深い。人格とか、別言すると人間性とか人柄ともいえるだろうが、そこに力を、というのは共感だ。帝国主義論においては、「西洋近代が生み出した資本主義・産業社会の帰結にして、西洋の政治的伝統の破壊者である帝国主義こそは、全体主義の悲劇の序曲であるだけでなく、全体主義がはらむこの両義性の結節点だった」(183ページ)という。ポストコロニアリズムの時代において、グローバリゼーション下において、虐げられた者たちが反システム運動をトランスナショナルに展開すべき。2012/11/16
ア
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アレントが他の思想家をどう呼んだか、逆にアレントは世界・日本においてどう読まれどう位置付けられてきたか、いくつかのアレント著作への書評、という三部構成(論文集)。第2,3,4章が非常におもしろい。ハイデガーはやはり難しい。2017/10/04