出版社内容情報
1994年夏,長野県松本市,援けを求める1本の電話は思わぬ闇へと繋がっていった…警察とマスコミによる冤罪捏造の構造を暴き,真実を求めて闘う人々の勇気を描く熊井啓監督の最新作シナリオを中心に現代日本の裏面に迫る.
内容説明
一九九四年夏、長野県松本市、援けを求める一本の電話は思わぬ闇へと繋がっていった…松本サリン事件の記録をもとに、警察とマスコミによる犯人捏造の構造を暴き、真実を求めて闘う人々の勇気を描いた熊井啓監督の最新作。シナリオと監督日誌に加え、河野義行、佐高信、佐藤忠男氏らのエッセイから、事件と現代日本の裏面に迫る。
目次
松本サリン事件と私
マスコミと警察の責任を問う
事件をふりかえる
シナリオ日本の黒い夏―冤罪
監督日誌
熊井啓の作風
著者等紹介
熊井啓[クマイケイ]
1930年、長野県に生まれる。旧制松本高校了。信州大学卒業後、54年日活撮影所入社。64年に第1回監督作品「帝銀事件・死刑囚」を発表。代表監督作品「日本列島」「黒部の太陽」「地の群れ」「忍ぶ川」「サンダカン八番娼館・望郷」「天平の甍」「海と毒薬」「千利休・本覚坊遺文」「深い河」。著書に『映画と毒薬』『映画の深い河』『映画を愛する』『池塘春草の夢』(正続)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨシムラ管
4
河野は黒
Takao
4
2001年3月5日発行(2001年3月15日、第2刷)。1994年6月27日に発生した「松本サリン事件」で容疑者に仕立て上げられた河野義行さん。これを演出したのは長野県警とマスコミではなかったか。そしてそれを受容していた私たち視聴者、国民。この冤罪事件を映画化したのが、河野家とも縁のある熊井啓監督。本書は、映画『日本の黒い夏・冤罪』を収録するとともに、関係者が当時の報道を振り返る文章なども収録されている。シナリオを読むうちに、映像が蘇ってきた。2017/11/01
あめの
0
接骨院で読んでたら、「趣味悪いな」って言われた。けど、普通に面白かった。2013/07/16
みぃ
0
映画のシナリオと、監督日誌、エッセイからなる本。今もまだ、過度な報道による人権侵害は続いている気がします。2013/02/06
in medio tutissimus ibis.
0
最後の作風解説の項で人格者を出すのがこの監督のいいところだと書かれていたが、シナリオを読んだ感じではそういう人物が話からリアリティと熱を奪っていたように思う。人の人格が事件に救いをもたらすとすれば、では残った悲劇は残りの人間の人格の問題なのか? 全員が善人なら悲劇は起きなかったか? 悪人を吊るしあげればいいのか? その浅薄な発想こそがこの悲劇の本質ではないか。であるから、私は学生に詰め寄られて時間や資金の乏しさを訴え無様に己の正当化を図る記者を愛する。彼が普通の人間で、我が身に振り返る事を読者に許すからだ2021/02/09
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