感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
4
構築主義と本質主義の狭間を進む科学哲学者の筆致に、概念に日付をつける著者の主張が垣間見える。カルチュラル・スタディーズで大学内に浸透し、サイエンンス・ウォーズで批判されたsocial constructionismへの称賛と非難に距離を取り、自らの日付ある言葉を記す本書は(原著1999刊、6~8章を省く抄訳で2006刊)、「Xは社会的に構築されたものである」という構築主義の命題をめぐって偶然性、唯名論、安定性の外的説明の係争点と科学の本質主義との関係に可能世界を導入しながら、対立とは別の捉え方を提起する。2018/10/16
ぷほは
4
構築主義的な議論を哲学的に考えると、こういうことが言えますよ、という本。オッカムの剃刀いらいの実在論/観念論の対立というよりも、個々に社会的に問題化される犯罪・法制度・医学分類・科学的概念などが対象とされる、我々自身の概念を分析する理解社会学と考えた方がいい。これは自分がグッドマンを読んでないからそう感じるだけなのかもしれないが。社会学者は「構成」や「構築」という言葉を使うときは、フツーは分析哲学や科学哲学というよりもカント由来の批判哲学から伸びてきたウェーバー的意味概念の伝統を踏まえる必要があるので。2018/08/05
メルセ・ひすい
1
8-32 赤121 訳不良? かなり読みにくい 「サイエンス・ウォーズ」として脚光を浴びた「社会的構成」を巡る論争の哲学的意味を、著名な科学哲学者が冷静な態度で分析。社会構成主義をめぐる議論を今後生産的に継承するための基礎となる。【ハッキング】1936年生まれ。トロント大学名誉教授。コレージュ・ド・フランス教授。2007/03/22
2kz1
0
論点整理。タイトルの問いの立て方なんかは流石ハッキングだな、と思わされる。2011/09/14
Daimon
0
社会構成主義は、その我が子によって喰われようとしているに至りつつある。「また、「社会的構成」というフレーズを口にする人を見ると、新しいテーゼやプロジェクトを立ち上げる新進気鋭というよりは、カラオケで古い歌ばかり歌っているオジサンを、ややもすると思い浮かべてしまうのである。[…]ここで問題なのは、シカゴ派社会学は、社会構成主義が否定しようとしていた対象そのものであったということである。社会構成主義は、自らをその批判者として売り出したはずの当の相手の言説の一部となり果てているのである。」(p.87-88)2019/02/28
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