内容説明
「日本工房」は、日本の写真・デザイン界の源流である。1931年にドイツで報道写真家になった名取洋之助は、1934年に木村伊兵衛、原弘、岡田桑三、伊奈信男を同人に誘って「日本工房」を設立。同人たちは脱退したが、再建後の「日本工房」には、山名文夫、河野鷹思、土門拳、亀倉雄策、藤本四八など、錚々たるデザイナーと写真家が集った。『NIPPON』『SHANGHAI』『GANTON』『カウパアプ・タワンオーク』などの対外宣伝誌を編集・制作しながら、「国際報道工芸」「国際報道」と名を変えていった「日本工房」の活動は、15年戦争の時代にほぼ重なっている。回顧展を機に、豊富な図版と詳細な年表によって、伝説のグラフィック制作集団の仕事を一望する。
目次
日本工房を率いた名取洋之助
1 報道写真の夜明け(1931‐34.3)
2 『NIPPON』創刊(1934.4‐37.8)
3 国策と対外宣伝(1937.9‐41.11)
4 拡散と消耗(1941.12‐45.8)
エピローグ(1945.9‐63)
著者等紹介
白山眞理[シラヤママリ]
1958年生まれ。昭和女子大学文学部卒業。現在、日本カメラ博物館運営委員、東京造形大学非常勤講師。2003年、論文「木村伊兵衛の新興写真と社会的表現」で日本写真芸術学会学術賞受賞。担当した展覧会に、写真雑誌の軌跡(2000年)、名取洋之助と日本工房作品展報道写真の夢(2003年)、報道写真の先駆者・名取洋之助の仕事ドイツ・1936年(2005年)などがある
堀宜雄[ホリヨシオ]
1963年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科芸術学(美術史)修士課程修了。現在、福島県立美術館主任学芸員。担当した展覧会に、勝田蕉琴展(1998年)、光のノスタルヂア―小関庄太郎と日本の芸術写真(2001年)、熊田千佳慕の世界(2002年)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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