内容説明
あなたが誰かを愛するとき、そこで何が起こっているのか。精神分析の最重要概念「転移」の再解釈を通じて、愛と欲望の根底に迫る。ラカンのセミネール第8巻。
目次
欲望の対象、そして去勢の弁証法(承前)(口唇期と肛門期における要求と欲望;口唇的、肛門的、性器的;プシュケと去勢コンプレックス;象徴φ;現実的な眼前)
今日のエディプス神話―ポール・クローデルのクーフォンテーヌ三部作の注釈(シーニュの否;チュルリュールのおぞましさ;パンセの欲望;構造的分解)
大文字のIと小文字のa(理想の意味の滑動;“EIN EINZIGER ZUGただ一つの線刻”による同一化;欲望との関係における不安;影の夢、人間;分析家とその喪)
著者等紹介
小出浩之[コイデヒロユキ]
1943年生まれ。精神科医。現在、岐阜大学名誉教授
鈴木國文[スズキクニフミ]
1952年生まれ。精神科医。現在、名古屋大学大学院医学系研究科リハビリテーション療法学専攻教授
菅原誠一[スガワラセイイチ]
1970年生まれ。精神科医。現在、東尾張病院勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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またの名
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こいつの中にたまらなくヤバイ「それ」が輝いてる!!!と人を幻惑する欲望の対象aつまりファルスを代理表象する記号を、強迫神経症はa1、a2、a3…と追い求めては取り替え、ヒステリーは自ら代理記号そのものに同一化してドラマチックな自己犠牲に走ると言うラカン。お前が持ってる「それ」は何なんだ畜生!と問い詰め破壊するにまで至る欲望の動きを解剖。「君が私に言ってくる非難と賞賛は、本当はこの隣の彼に向けているんだよ」とソクラテスが恋に盲目なアルキビアデスの暴露トークに答えて諭す不可解な場面に、精神分析の純粋型を見る。2020/10/21