天使とボナヴェントゥラ―ヨーロッパ13世紀の思想劇

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  • サイズ B6判/ページ数 320p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000240277
  • NDC分類 132.2
  • Cコード C0014

内容説明

熾天使のような博士と称された、中世の神学者ボナヴェントゥラ。トマス・アクィナスと並んで、盛期スコラを代表するこの思想家の、一身に体現された信と哲学を解読し、大いなる総合の時であった一三世紀の思想像を、立体的に描き出す。天使とは何か。地上の重さを逃れたこの存在に、何を読むのか。この問いは、理性と信仰、普遍と個物をめぐる思考の試金石であり、煩瑣にして体系的な議論の背後に潜む、人間的な含意を探る窓であった。天使論という、哲学の闘争の場と、生が賭けられた決断の出来事から、中世の哲学を貫く、ダイナミックな思想のドラマをよみがえらせる。近代とは中世の土壌に生えた痩せた木であり、中世とは、さまざまな萌芽を豊かに抱えた、思想の沃野であった。「私たちの内なる一三世紀」を訪ねて。

目次

1 ボナヴェントゥラとは誰か(総合者ボナヴェントゥラ;ボナヴェントゥラの位置)
2 天使という思想(二人のドクトル・セラフィクス;「形相は質料と結びつくことを欲求する」)
3 ボナヴェントゥラと13世紀の思想劇(ボナヴェントゥラの質料的・個別的存在の認識;ボナヴェントゥラのプラトン主義;ボナヴェントゥラの神学)

著者等紹介

坂口ふみ[サカグチフミ]
1933年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化修士課程修了。ミュンヘン大学にてPh.D.取得。東京大学、東北大学、清泉女学院大学を経て、東北大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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syaori

61
13世紀の盛期スコラについての本。イスラムの思想家を通しアリストテレス哲学が再発見された時代。キリスト教の教義は「ギリシャ的・概念的思考」からイエスの教えを述べようとする試みでもあるですが、これを継ぎアリストテレスを取り入れたトマス・アクィナスとの比較から、ボナヴェントゥラの特徴が示されます。それは、人間の積極的な価値を強調する「根源的にキリスト教的な」もの。この「個」の重視は「近代を準備するもの」でもあり、理性を重視し近代観念論につながるトマスの体系と共に、次代を花開かせたスコラの豊穣さを堪能しました。2023/03/22

euthanasia

2
人間能力の多性と世界の多性との照応関係が堕罪によって失効したとき、世界という書物を照明するもう一つの書物としての聖書、あるいは人間と神を媒介する内と外に書かれた書物としてのキリストが要請された、というある意味で戯画的(?)な世界認識はとても分かりやすく魅力的でもある2016/02/14

toiwata

1
勘で選んだ一冊。当たりであった。「新約の天使像はおおむねユダヤの伝統に基づき、体系的な明瞭な天使論は持たない。」p.802014/08/06

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