内容説明
熾天使のような博士と称された、中世の神学者ボナヴェントゥラ。トマス・アクィナスと並んで、盛期スコラを代表するこの思想家の、一身に体現された信と哲学を解読し、大いなる総合の時であった一三世紀の思想像を、立体的に描き出す。天使とは何か。地上の重さを逃れたこの存在に、何を読むのか。この問いは、理性と信仰、普遍と個物をめぐる思考の試金石であり、煩瑣にして体系的な議論の背後に潜む、人間的な含意を探る窓であった。天使論という、哲学の闘争の場と、生が賭けられた決断の出来事から、中世の哲学を貫く、ダイナミックな思想のドラマをよみがえらせる。近代とは中世の土壌に生えた痩せた木であり、中世とは、さまざまな萌芽を豊かに抱えた、思想の沃野であった。「私たちの内なる一三世紀」を訪ねて。
目次
1 ボナヴェントゥラとは誰か(総合者ボナヴェントゥラ;ボナヴェントゥラの位置)
2 天使という思想(二人のドクトル・セラフィクス;「形相は質料と結びつくことを欲求する」)
3 ボナヴェントゥラと13世紀の思想劇(ボナヴェントゥラの質料的・個別的存在の認識;ボナヴェントゥラのプラトン主義;ボナヴェントゥラの神学)
著者等紹介
坂口ふみ[サカグチフミ]
1933年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化修士課程修了。ミュンヘン大学にてPh.D.取得。東京大学、東北大学、清泉女学院大学を経て、東北大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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