内容説明
バイオ創薬時代といわれる今日、研究開発の高度化とともに、知的財産権はグローバル化し、TRIPS協定が採択された。一方、国連ではエイズ薬のアクセスをきっかけに、知財保護の功罪をめぐって議論が紛糾した。本書は、同協定が修正されてきた過程をたどり、解決の糸口はどこにあるのか、知的財産権をめぐる対立の根源は何かについて考察する。一体化していく経済のなかで、グローバルな知的財産権保護制度が目指すべき「公益」とは何か。権利に固執するだけでなく、非効率な産業利益の推進に偏ることなく、知的財産権が、イノベーションを起こすためには、いかなる協力を打ち立てるべきか。
目次
第1編 TRIPS協定(グローバル化と知的財産権の保護;医薬品開発と特許及びデータ保護;先端産業と対外知的財産政策;TRIPS協定と医薬品)
第2編 エイズ薬と特許(エイズの勃発と治療薬の開発;途上国へのエイズの波及;ドーハ公衆衛生宣言以後のTRIPS協定)
第3編 途上国の産業政策(新興中産国の医薬品産業と政策;途上国企業による特許出願;FTAによる米国の知的財産権保護と途上国)
第4編 先進国の特許制度と医薬品の研究開発(米国における特許制度の再考;医薬品・バイオ特許と競争法)
第5編 人道と経済効率(TRIPS協定の「柔軟性」と国内法;強制実施権発動後;日本の国際協力はいかにあるべきか)
著者等紹介
山根裕子[ヤマネヒロコ]
東京大学教養学科卒、米国エール大学M.A.、MPhil.、パリ大学国家博士取得。ロンドン大学、立命館大学などを経て、1999年より政策研究大学院大学教授。2004年より世界保健機関(WHO)の「知的財産権、イノベーション及び公衆衛生」国際委員会(CIPIH)委員として、医薬品研究開発及びアクセス条件の調査に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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メルセ・ひすい