出版社内容情報
「こんな愛人同士といふものがかつて日本に存在したであらうか」「これほど深い知的な,また愛情をもつての〓がりが出来るとは夢にも考えたらうか」.共に70歳,作家野上と哲学者田辺との往復書簡346通.
内容説明
「こんな愛人同士といふものがかつて日本に存在したであらうか」と日記に誌した時、大作『迷路』の完結に腐心する作家野上弥生子は六八歳、同年の哲学者田辺元は、京大退官後に隠棲した北軽井沢の地で、『死の哲学』の構築に骨身を削っていた。老年の思索と創作を支えたみずみずしい愛と友情。1950年(昭和25年)から、1961年(昭和36年)までの書簡を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
c
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NHKのラジオでの朗読を聴いて。高名な哲学者と作家の、本にまでなった往復書簡とはいっても、明確な議論の焦点があるわけではないので、正直冗漫だった。が、それでもページを捲らせる妙な魅力があるのは、二人の関係が「老いらくの恋」と表現することすら憚られる瑞々しさに満ちているからだ。若く、互いにエゴが剥き出しだった頃に出会っていれば、同じように恋に落ちた可能性はあるにしても、しかしこんな関係になることはなかっただろう。BGMには、くるりの「男の子と女の子」すら似合いそうな。2010/07/24
takao
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ふむ2025/10/12
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