出版社内容情報
自国の負の過去をなぜ/どのように想起するのか―― 壁崩壊後のベルリンに誕生した、ナチズムの記憶を新たに刻むミュージアム、記念碑、パブリックアートの数々。「ヴォイド=空隙」が散りばめられたこの否定的風景に、集合的記憶を開こうとした人々の挑戦の軌跡を読み解く。ベルリンという記憶の都市(ムネモトープ)の案内書。
【目次】
序 論 想起のトポグラフィー
1 「集合的記憶」論の視座
2 「集合的記憶」のメディアとしての空間
3 「トポグラフィカル」な実践としての「想起の空間」
Ⅰ ミュージアムと歴史の叙法
第1章 ドイツ歴史博物館──再統一ドイツの「ナショナル・ヒストリー」
1 設立の経緯
ベルリン州から連邦のプロジェクトに
一九八〇年代の西ドイツにおける「歴史」をめぐる対立
ミュージアムの設立から開館まで
2 一九八七年の実現しなかった基本構想
3 ドイツ歴史博物館の常設展
クロノロジーの骨格
オリジナルのモノとの自由な対話
4 「ナショナル・ヒストリー」の可視化
「歴史」という叙法
象徴装置としての展示空間
「ヨーロッパ」の物語
第2章 ベルリン・ユダヤ博物館──「希望のマトリックス」
1 設立の経緯
発 端
「統合モデル」と一九八八年のコンペ
ベルリン州立のミュージアムから連邦立のミュージアムへ
2 JMBの建築表現
常設展示室へのアプローチ
「ヴォイド」
3 ミュージアムと都市の記憶
──オスナブリュック、ドレスデン、ベルリン
第3章 「加害者の場所」──テロルのトポグラフィー
1 場所の歴史
2 現在のテロルのトポグラフィー
展示資料館
ゲレンデの造成
展示資料館内の常設展
3 テロルのトポグラフィーの展示思想
場所の定義──「加害者の場所」
場所の保存──「都市の開いた傷」
トポグラフィカル・アプローチ
ドキュメンタリー・アプローチ
4 スティグマとしての「開いた傷」
Ⅱ モニュメント
第4章 カウンターモニュメント
1 一九世紀と二〇世紀のドイツの国民的記念碑
戦勝記念塔(一八七三年除幕)
キフホイザー・ヴィルヘルム皇帝記念碑(一八九六年除幕、九七年完成)
諸国民会戦記念碑(一九一三年除幕)
「記念碑的壮大さへの衝動」
2 カウンターモニュメント
ハールブルク反ファシズム警鐘碑(一九八六年除幕)
アシュロットの泉(一九八七年除幕)
「二一四六個の石」──反人種主義警鐘碑(一九九三年序幕)
「図書館」(一九九五年序幕)
カウンターモニュメントの方法論的転回
3 公共空間に遍在する「ヴォイド」
「傷」のイコン
代理表象(教義)ではなく自由な参加(多義性)
4 「閉じた想起」から「開かれた想起」の形へ
第5章
内容説明
〈ヴォイド=空隙〉が語る犠牲者の不在―日常の風景に刻まれた記憶の痕跡。壁崩壊後のベルリンに生まれた、ナチズムの記憶を刻むミュージアム、記念碑、パブリックアート。類ない記憶の共同化の試みを、文化論・都市論の視点から読み解く。当事者不在の時代に、負の記憶をどう継承するか。「想起の文化」の可能性を問う。気鋭の研究者による必読の一冊。
目次
序論 想起のトポグラフィー
1 ミュージアムと歴史の叙法(ドイツ歴史博物館―再統一ドイツの「ナショナル・ヒストリー」;ベルリン・ユダヤ博物館―「希望のマトリックス」;「加害者の場所」―テロルのトポグラフィー)
2 モニュメント(カウンターモニュメント;ホロコースト記念碑―中心の「ヴォイド」)
3 街並みの中で(「周辺」の試み;「躓きの石」―草の根の想起のプロジェクト)
結び 記憶を開く―ある別様の「私たち」へ
著者等紹介
安川晴基[ヤスカワハルキ]
名古屋大学大学院人文学研究科准教授。博士(文学)。専攻はドイツ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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