出版社内容情報
非民主主義的な全体主義国家だったと言われるソ連は、デモクラシー(人民の権力)を重視し、人びとから寄せられる膨大な数の陳情・意見に真剣に向き合っていた。体制に容認された自由と政権の目を盗んで得た「自由」をも謳歌していた人びとの日常を一次史料から丹念に再構成し、ソ連型民主主義の実態に迫る意欲作。
内容説明
一般的には非民主主義的な全体主義国家だったと言われるソ連は、西側諸国の「自由主義」は否定したが、デモクラシー(人民の権力)をなにより重視していた。人々の生活に全面的な責任を負っていた党には日々膨大な陳情や意見が寄せられ、当局はそれらに真剣に向きあうことで人民との「対話」を模索し続けた。体制に容認された自由だけでなく政権の目を盗んで得た「自由」をも謳歌していた人々の日常を一次史料から丹念に再構成し、ソ連型民主主義の実態に迫る意欲作。
目次
第1章 ソヴィエト民主主義とは何か(「リベラル」でないデモクラシー;本書の対象時期;理念を実現する努力;ソヴィエト民主主義における選挙)
第2章 公認された自由は実現されたか(憲法が保障した自由;公的回路を通じた「対話」;全人民討議による「対話」;勤労集団による参加)
第3章 日常生活における自由と「自由」(「過度の容寛さ」という「リベラリズム」;「寄生的生活様式」;自由と「自由」の結合―サークル、ロック、ジーンズ;職場における「自由」;愚行をする「自由」;神の名における「自由」)
第4章 「偽りの平穏」(社会秩序維持の努力と限界;自由時間の増加と違法行為;「見せかけの平穏」と「自由」)
終章 ソ連における民主主義と自由(「ぬるま湯性」と「自由」;体制に対する人々の意識と態度;ソヴィエト民主主義の「遺産」)
著者等紹介
松戸清裕[マツドキヨヒロ]
1967年生。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。北海学園大学法学部教授。ソ連史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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